GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 夢野久作 『あやかしの鼓』
現代語化
「すみません、内緒でその鼓を見せていただけませんか?」
「……………」
「やめておきなさい。つまらないものですよ、あの鼓は……変な言い伝えがあるもんですから、鼓好きの人は見たがってる人もいるようですが……」
「へぇ」
「そんな伝説なんてみんな迷信ですよ。あの鼓の最初の持ち主の名前が綾姫だったもんですから、謡曲の『綾の鼓』だの能面の『あやかしの面』などと一緒にして作り上げたまがいもんです。根も葉もないことです」
「そうじゃないって聞いてるんですが」
「そうなんです。あの鼓は昔、身分の高いお嬢さんの結婚式の時に使った飾り物で。音がでないもんだからみんな不審がっていろいろと……」
「ちょっと……その話は知ってます。それってこのお屋敷の奥さんが、ある鼓職人からだまされてそう思ってるだけなんです。その職人はこの家のことを考えてそう言ったんです。本当はすごくいい鼓なのに……」
原文 (会話文抽出)
「『あやかしの鼓』というのがこちらにおありになるそうですが……」
「すみませんが内密で僕にその鼓を見せて頂けないでしょうか」
「……………」
「およしなさい。つまらないですよあの鼓は……変な云い伝えがあるのでね、鼓の好きな人の中には見たがっている人もあるようですがね……」
「ヘエ」
「あんな伝説なんかみんな迷信ですよ。あの鼓の初めの持ち主の名が綾姫といったもんですから謡曲の『綾の鼓』だの能仮面の『あやかしの面』などと一緒にして捏ち上げた碌でもない伝説なんです。根も葉もないことです」
「そうじゃないように聞いているんですが」
「そうなんです。あの鼓は昔身分のある者のお嫁入りの時に使ったお飾りの道具でね。音が出ないものですから皆怪しんでいろんなことを……」
「ちょっと……そのお話は知っています。それはこちらの奥さんが或る鼓の職人から欺されていらっしゃるのです。その職人はこの家のおためを思ってそう云ったのです。本当はとてもいい鼓……」