GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 菊池寛 『船医の立場』
現代語化
「俺たちは、こんな些細なことで、日本政府と揉めるのはよくねえと思う」
「でも、俺は日本政府と多少もめるとしても、この若者たちの頼みを聞いてやるのが、どんなに正しいことで、いいことか分からねえと思う。先日あいつらが、俺たちの士官の一人に渡したっていう手紙の翻訳を読んで、あいつらの頭が良くて立派な人間性にどれだけ感心したか分からねえ。あいつらの熱意は俺の心を打った。俺は、有色人種の心の中に、こんな立派な魂が宿ってるなんて知らなかった。その上、翻訳で読んでも、その原文がどんなに分かりやすく、理路が整然としてるか分かる。あいつらの頭が明晰なのは、俺にとって驚きだった。こんな頭の良い若者を俺たちの国に連れて行って、俺たちの文化に触れさせられるだけでも、俺の心は嬉しさで飛び上がっちまうよ。俺は提督閣下が、この若者の頼みに耳を傾けてくれることを切望してる」
「お前は、興奮しすぎだ。もっと現実を見なきゃいかん」
原文 (会話文抽出)
「じゃ、我々はこの青年たちの請を斥けた方が、無難だというのですか」
「我々は、こんな些細なことで、日本政府と事端を構えるのはよくないことだと思う」
「が、しかし私は、たとい日本政府との間に、少しの面倒があっても、あの青年たちの請を容れてやることが、どんなに正しいことであり、いいことであるか分からないと思う。私は、先日あの青年たちが、我々の士官の一人に渡したという手紙の翻訳を読んで、彼らの聡明な高尚な人格にどれだけ感心したか分からない。彼らの熱烈な精神は私の心を打った。私は、有色人種の心のうちに、こんな立派な魂が宿っているとは知らなかった。その上、翻訳で読んでも、その原文が、どんなに明勁であって、理路が整然としているかが分かる。その頭脳の明晰さは、私にとって、一つの驚異であった。こうした聡明な青年をわが国へ連れて行って、わが文化に接せしめるということだけでも、私の心は躍り上るような歓喜を感ずる。私は提督閣下が、この青年の請に耳をかさんことを切望するものです」
「あなたは、あまりに興奮し過ぎる。あなたはもっと現実を見なければいけない」