芥川龍之介 『本所両国』 「実際その時は大変でしたよ。尤も僕の家など…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『本所両国』

現代語化

「マジでその時やばかったっすよ。でもうちは床上浸水は免れましたけど」
「浅いところもあったんだ」
「緑町2丁目――だったかな。あそこらへんは膝くらいまで水があったみたいっすよ。俺、Sって友達と一緒にもう1人の友達が住んでるその先の路地に行こうとしたんですけど、Sが溝に落ちちゃってさ。……」
「あ、水が出てたから溝がわからなかったんだ」
「そう、――でもSは膝まで水の上に出てたんすよ。そしたら急に深い溝だったみたいで、水の上に出てるのは首だけになっちゃって(笑)。思わず笑っちゃいましたよ」

原文 (会話文抽出)

「実際その時は大変でしたよ。尤も僕の家などは床の上へ水は来なかつたけれども。」
「では浅い所もあつたのですね?」
「緑町二丁目――かな。何でもあの辺は膝位まででしたがね。僕はSと云ふ友だちと一しよにその露地の奥にゐるもう一人の友だちを見舞ひに行つたんです。するとSと云ふ友だちが溝の中へ落ちてしまつてね。……」
「ああ、水が出てゐたから、溝のあることがわからなかつたんですね。」
「ええ、――しかしSのやつは膝まで水の上に出てゐたんです。それがあつと言ふ拍子に可也深い溝だつたと見え、水の上に出てゐるのは首だけになつてしまつたんでせう。僕は思はず笑つてしまつてね。」


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