GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「知りません」
「お糸ちゃんは坂井屋に遊びに来る外国人とも仲良くしてた？」
「坂井屋には外国人がたくさん来ますが、お糸ちゃんと仲良くしてるかどうかは知りません」
「お前は外国人に自分の女を取られたんじゃないのか」
「お前はお手伝いに来るお此って女知ってるよな」
「知ってます」
「あいつも外国人の事知ってるだろうな」
「それはどうですか」
「お此とお糸ちゃんは仲良しだったのか」
「どうですかね」
「お糸ちゃんはお此に誘い出されたんじゃないのか」
「そんな事はないと思いますけど……」
「おい、伊之。顔見せてみろよ」
「え」
「ま、明るい場所で真っ正面を向いてみろよ。俺が人相見てやるから……」
「これ、隠すなよ。お前とお此は何かいわくあるだろ。お此は歳上であんな刺青者なんだぜ。あんな奴に可愛がられてると、ろくな事ねえぞ。お糸ちゃんはあいつに誘い出されて、売り飛ばされたか、殺されたんだろ。はっきり言え」
「さあ、言えよ。正直に言ったら情けをかけてやるぞ。お此は偽札作って捕まって、もう全部白状してんだ。それなのに隠してたら、お前も大変な事になるぞ。偽札作りの仲間みたいに思われて、この鈴ヶ森で磔刑になっちまうのか。女にばかり義理立てて、病気の親に迷惑かけるなよ。この親不孝野郎め」
「さあ、どうだ」
「お此の白状だけじゃねえ。この重忠が人相見てみりゃ、お前とバレバレなんだよ。これ、よく聞けよ。お前は前から坂井屋のお糸ちゃんとできてたんだろ。そしたら横から出て来たのがお此って女で、お前はまたあいつに惚れちまったんだ。お此は年上であげくの果てに性格が悪いから、邪魔者のお糸ちゃんをどけようと悪だくみをしたんだ。さあ、これと違うだろ」
原文 (会話文抽出)
「早速だが、おめえはまったく坂井屋のお糸のゆくえを知らねえのか」
「知りません」
「お糸は坂井屋へ遊びに来る異人に馴染でもあった様子か」
「坂井屋へは異人が大勢来ますが、お糸に馴染があるかどうだか、それは存じません」
「おめえは異人に自分の女を取られたのじゃあねえか」
「おめえは坂井屋へ手伝いに来るお此という女を知っているだろうな」
「知っています」
「あの女も異人を知っているのだろうな」
「さあ、それはどうですか」
「お此はお糸と心安くしていたか」
「どうですか」
「お糸はお此が誘い出したのじゃあねえか」
「そんな事はあるまいと思いますが……」
「おい、伊之。顔を見せろ」
「え」
「まあ、明るいところで正面を向いて見せろよ。おれが人相を見てやるから……」
「これ、隠すな。おめえはお此と訳があるだろう。お此は年上の女で入墨者だ。あんな者に可愛がられていると、碌なことはねえぞ。お糸はお此に誘い出されて、売り飛ばされたか、殺されたか。はっきり云え」
「さあ、云え。正直に云えばお慈悲を願ってやる。お此は贋金づかいで召し捕られて、もう何もかも白状しているのだ。それを知らずに隠し立てをしていると、おめえも飛んだ係り合いになるぞ。贋金づかいの同類と見なされて、この鈴ヶ森で磔刑になりてえのか。女にばかり義理を立てて、病人の親に泣きを見せるな。この親不孝野郎め」
「さあ、どうだ」
「お此の白状ばかりじゃあねえ。四相を覚るこの重忠が貴様の人相を見抜いてしまったのだ。これ、よく聞け。貴様は前から坂井屋のお糸と出来ていた。そこへ横合いからお此という女が出て来て、貴様は又そいつに生け捕られてしまった。お此は年上で、おまけに質のよくねえ奴だから、邪魔者のお糸を遠ざけようとして悪法をたくらんだ。さあ、それに相違あるめえ」