岡本綺堂 『半七捕物帳』 「おい、松。おめえと庄太に手伝って貰って、…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「おい、松。お前と庄太に手伝ってもらって、大森の鶏殺しや鈴ヶ森の人殺し事件を解決したのは、もう7〜8年前だな」
「そうですね。たぶん嘉永の頃でしょう」
「そうか、お前は記憶力が良いな。嘉永4年の春のことだ。あの鈴ヶ森で、また少し手伝ってほしいことがあるんだが…」
「狐ですか?」
「俺も何か変だとは思っていたんだ」
「その狐だよ。熊谷の旦那から依頼された以上は、笑い事じゃ済まない。なんとか正体を見極めなきゃならないが、お前たちに心当たりはないか?」
「今のところ心当たりはありませんけど、すぐ調べてみます」
「この事件の始まりは、確か3月上旬のことらしい。漁師町の若い者が酔っ払って鈴ヶ森を通ると、暗い中で変な女に出会った。酔っ払った勢いで何か戯れたらしい。すると、赤い火の玉がバラバラと飛んできて、若い者の顔や手足に当たり、驚き叫んで逃げ出した。その噂が広まって、それからいろんな怪談が流行り出したんです」

原文 (会話文抽出)

「おい、松。おめえと庄太に手伝って貰って、大森の鶏や鈴ヶ森の人殺し一件を片付けたのは、もう七、八年前のことだな」
「そうですね。たぶん嘉永の頃でしょう」
「成程、おめえは覚えがいい。嘉永四年の春のことだ。その鈴ヶ森で、また少し働いて貰いてえことが出来たのだが……」
「狐じゃあありませんか」
「わっしも何だか変だと思っていたのですがね」
「その狐よ。熊谷の旦那から声がかかった以上は、笑ってもいられねえ。なんとか正体を見届けなけりゃあなるめえが、おめえ達に心あたりはねえか」
「今のところ、心あたりもありませんが、早速やって見ましょう」
「この一件の始まりは、なんでも三月の始めだそうです。漁師町の若い者が酒に酔って鈴ヶ森を通ると、暗いなかで変な女に逢った。こっちは酔ったまぎれに何か戯ったらしい。そうすると、赤い火の玉がばらばら飛んで来て、若い者の顔や手足に降りかかったので、きゃっと驚いて逃げ出した。その噂が序開きで、それからいろいろの怪談が流行り出したのです」


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