岡本綺堂 『半七捕物帳』 「自分の鼻の先のことを御指図で恐れ入りまし…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「自分たちの目の前のことを注意されて、恐縮です。実は若い衆からそんな話は聞いてたんですけど、他の仕事に忙しくて…」
「いや、忙しくなくても、こんなくだらない仕事は立派な侍がするもんじゃないよ」
「清水山って聞くと大層に聞こえますけど、堤の幅は3〜4間、高くても5間くらいしかありません。高さだって、足長島の人間なら一またぎできます。そんなところに鬼や蛇がいるわけないでしょ。でも、昔から不吉な噂がある場所だから、世間は大騒ぎしてるんですかね。でも江戸は油断できませんよ。灰吹きからも大蛇が出たことがあるんですから」
「ごもっともです」
「油断はできません。では、すぐに調べてきましょう」
「清水山のことですね。私、バカにしてたんで、旦那から言われて初めて本気で考えるようになりました。ちゃんと調べてきます。でも、私が言うまでは、現場には近づかないように」
「はい、わかりました」

原文 (会話文抽出)

「自分の鼻の先のことを御指図で恐れ入りました。実は若い奴らからそんな話を聞かないでもなかったのですが、ほかの御用に取りまぎれて居りまして……」
「いや、忙がしくなくっても、こんなべらぼうな仕事は立派な男の勤める役じゃあねえ」
「清水山というと大層らしいが、堤の幅にしてみたら多寡が三、四間、おそらく五間とはあるめえ。高さだって知れたもので足長島の人間ならば一とまたぎというくらいだ。そんなところに鬼が棲むか、蛇が棲むか、大抵はわかり切っているわけだが、昔から忌な噂のあるところだけに、世間の騒ぎは大きいのだろう。尤も江戸というところは油断は出来ねえ。灰吹からも大蛇が出るからな」
「ごもっともでございます」
「まったく油断は出来ません。では、早速に調べあげてまいります」
「ほかじゃあねえが、清水山の一件だ。おれは馬鹿にしてかかっていたので、旦那の方から声をかけられてしまった。もう打っちゃっては置かれねえ。ひと通り調べてきてくれ。だが、おれの指図するまでは現場の方へはむやみに手をつけるなよ」
「あい。ようがす」


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