宮沢賢治 『セロ弾きのゴーシュ』 「ああこの児はどうせ病気になるならもっと早…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『セロ弾きのゴーシュ』

現代語化

「ああこの子は、病気をするならもっと早くすればよかった。さっきまであれだけわんわん鳴いていたのに、病気になるといっしょにぴたりと音が止まってもうあとはいくらお願いしても鳴らしていただけないなんて。なんて不幸せな子どもだろう。」
「何だと、私がチェロを弾けばみみずくやウサギの病気が治ると。どういうわけだ。それは。」
「はい、この辺の者は病気になるとみんな先生のうちのお家の床下に入って治療するんです。」
「すると治るのか。」
「はい。体がとても温まって気持ちよくてすぐ治る者もいれば、家に帰ってから治る者もいます。」
「ああそうか。私のチェロの音がわんわん響くと、それがあんまの代わりになってお前たちの病気が治るというのか。よし。わかったよ。やってやろう。」
「私も一緒に行きます。どこの病院でもそうですから。」
「お前さんも入るのか。」
「お前、そこは大丈夫か?落ちる時はいつも教えたように足を揃えて上手に落ちたのか?」
「大丈夫。上手に落ちたよ。」
「安心しろよ。だから泣き声出すなというんだ。」

原文 (会話文抽出)

「ああこの児はどうせ病気になるならもっと早くなればよかった。さっきまであれ位ごうごうと鳴らしておいでになったのに、病気になるといっしょにぴたっと音がとまってもうあとはいくらおねがいしても鳴らしてくださらないなんて。何てふしあわせな子どもだろう。」
「何だと、ぼくがセロを弾けばみみずくや兎の病気がなおると。どういうわけだ。それは。」
「はい、ここらのものは病気になるとみんな先生のおうちの床下にはいって療すのでございます。」
「すると療るのか。」
「はい。からだ中とても血のまわりがよくなって大へんいい気持ちですぐ療る方もあればうちへ帰ってから療る方もあります。」
「ああそうか。おれのセロの音がごうごうひびくと、それがあんまの代りになっておまえたちの病気がなおるというのか。よし。わかったよ。やってやろう。」
「わたしもいっしょについて行きます。どこの病院でもそうですから。」
「おまえさんもはいるかね。」
「おまえそこはいいかい。落ちるときいつも教えるように足をそろえてうまく落ちたかい。」
「いい。うまく落ちた。」
「大丈夫さ。だから泣き声出すなというんだ。」


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