宮沢賢治 『セロ弾きのゴーシュ』 「鳥まで来るなんて。何の用だ。」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『セロ弾きのゴーシュ』

現代語化

「鳥まで来るなんて。何の用だ。」
「音楽を習いたいのです。」
「音楽だと。お前の歌は、カッコウ、カッコウというだけじゃあないか。」
「ええ、それなんです。でも難しいですからねえ。」
「難しいもんか。お前たちのはたくさん鳴くのがひどいだけで、鳴き方は何でもないじゃないか。」
「ところがそれがひどいんです。たとえばカッコウとホトトギスとか、カッコウとホトトギスのとでは、聞いていてもずいぶん違うでしょう。」
「変わらないよ。」
「ではあなたにはわからないんです。私達の仲間ならカッコウと一万回鳴けば一万回みんな違います。」
「勝手だよ。そんなにわかってるなら何も私のところへ来なくてもいいではないか。」
「ところが私はドレミファを正確に覚えたいんです。」
「ドレミファもくそもあるか。」
「ええ、外国に行く前にぜひ一度習いたいんです。」
「外国もくそもあるか。」
「先生どうかドレミファを教えてください。私はついて歌いますから。」
「うるさいなあ。ほら3回だけ弾いてやるから終わったらさっさと帰るんだぞ。」
「違います、違います。そんなんじゃありません。」
「うるさいなあ。ではお前やってごらん。」
「こうですよ。」
「カッコウ」
「何だい。それがドレミファかい。お前たちには、それではドレミファもベートーベンの第九交響曲も同じなんだな。」
「それは違います。」
「どう違うんだ。」
「難しいのは、これをたくさん続けたのがたくさんあるんです。」
「つまりこうだろう。」

原文 (会話文抽出)

「鳥まで来るなんて。何の用だ。」
「音楽を教わりたいのです。」
「音楽だと。おまえの歌は、かっこう、かっこうというだけじゃあないか。」
「ええ、それなんです。けれどもむずかしいですからねえ。」
「むずかしいもんか。おまえたちのはたくさん啼くのがひどいだけで、なきようは何でもないじゃないか。」
「ところがそれがひどいんです。たとえばかっこうとこうなくのとかっこうとこうなくのとでは聞いていてもよほどちがうでしょう。」
「ちがわないね。」
「ではあなたにはわからないんです。わたしらのなかまならかっこうと一万云えば一万みんなちがうんです。」
「勝手だよ。そんなにわかってるなら何もおれの処へ来なくてもいいではないか。」
「ところが私はドレミファを正確にやりたいんです。」
「ドレミファもくそもあるか。」
「ええ、外国へ行く前にぜひ一度いるんです。」
「外国もくそもあるか。」
「先生どうかドレミファを教えてください。わたしはついてうたいますから。」
「うるさいなあ。そら三べんだけ弾いてやるからすんだらさっさと帰るんだぞ。」
「ちがいます、ちがいます。そんなんでないんです。」
「うるさいなあ。ではおまえやってごらん。」
「こうですよ。」
「かっこう」
「何だい。それがドレミファかい。おまえたちには、それではドレミファも第六交響楽も同じなんだな。」
「それはちがいます。」
「どうちがうんだ。」
「むずかしいのはこれをたくさん続けたのがあるんです。」
「つまりこうだろう。」


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