宮沢賢治 『風の又三郎』 「わあい又三郎、まだひとさ水掛げだな。」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『風の又三郎』

現代語化

「わぁい又三郎、まだ人に水かけたんだ。」
「風が吹いたんだよ。」
「わぁい又三郎、お前そこで木を揺すったんだろ?」
「うぁい又三郎、汝なんかいなくても世界はいいんだ。」
「やぁ耕助君、失礼したねえ。」
「うぁい、うぁいだ、又三郎、お前のみたいな風なんか世界中になくてもいいんだ、うわぁい。」
「失礼したよ、だって君もあまりにも僕に意地悪するから。」
「うぁい又三郎、風なんか世界中になくてもいいんだ、うぁい。」
「風が世界中になくってもいいってどういうことだい。いいところを並べていってごらん。ほら。」
「汝なんかいたずらばかりして、傘壊したり。」
「それからそれから。」
「それから木を折ったりひっくり返したり。」
「それから、それからどうだい。」
「家も壊したり。」
「それから。それから、あとはどうだい。」
「明かりも消したり。」
「それからあとは? それからあとは? どうだい。」
「帽子も飛ばしたり。」
「それから? それからあとは? あとはどうだい。」
「笠も飛ばしたり。」
「それからそれから。」
「それから、ラ、ラ、電信柱も倒したり。」
「それから? それから? それから?」
「それから屋根も飛ばしたり。」
「アアハハハ、屋根は家のうちだよ。どうだいまだあるかい。それから、それから?」
「それだから、ララ、それだからランプも消したり。」
「アアハハハハ、ランプは明かりのうちだよ。でもそれだけかい。え、おい。それから? それからそれから。」
「それから? それから? ええ? それから?」
「風車も壊したり。」
「ほらごらん、とうとう風車なんか言っちゃっただろう。風車なら風を悪く思っちゃいないんだよ。もちろん時々壊すこともあるけれども回してやる時のほうがずっと多いんだ。風車ならちっとも風を悪く思っていないんだ。それに第一お前のさっきからの数え方はあんまりおかしいや。ララ、ララ、ばかり言ったんだろう。おしまいにとうとう風車なんか数えちゃった。ああおかしい。」

原文 (会話文抽出)

「わあい又三郎、まだひとさ水掛げだな。」
「風が吹いたんだい。」
「わあい又三郎、うなそごで木ゆすったけあなあ。」
「うあい又三郎、汝などあ世界になくてもいいなあ。」
「やあ耕助君、失敬したねえ。」
「うあい、うあいだ、又三郎、うなみだいな風など世界じゅうになくてもいいなあ、うわあい。」
「失敬したよ、だってあんまりきみもぼくへ意地悪をするもんだから。」
「うわい又三郎、風などあ世界じゅうになくてもいいな、うわい。」
「風が世界じゅうになくってもいいってどういうんだい。いいと箇条をたてていってごらん。そら。」
「汝など悪戯ばりさな、傘ぶっこわしたり。」
「それからそれから。」
「それがら木折ったり転覆したりさな。」
「それから、それからどうだい。」
「家もぶっこわさな。」
「それから。それから、あとはどうだい。」
「あかしも消さな。」
「それからあとは? それからあとは? どうだい。」
「シャップもとばさな。」
「それから? それからあとは? あとはどうだい。」
「笠もとばさな。」
「それからそれから。」
「それがら、ラ、ラ、電信ばしらも倒さな。」
「それから? それから? それから?」
「それがら屋根もとばさな。」
「アアハハハ、屋根は家のうちだい。どうだいまだあるかい。それから、それから?」
「それだがら、ララ、それだからランプも消さな。」
「アアハハハハ、ランプはあかしのうちだい。けれどそれだけかい。え、おい。それから? それからそれから。」
「それから? それから? ええ? それから?」
「風車もぶっこわさな。」
「そらごらん、とうとう風車などを言っちゃったろう。風車なら風を悪く思っちゃいないんだよ。もちろん時々こわすこともあるけれども回してやる時のほうがずっと多いんだ。風車ならちっとも風を悪く思っていないんだ。それに第一お前のさっきからの数えようはあんまりおかしいや。ララ、ララ、ばかり言ったんだろう。おしまいにとうとう風車なんか数えちゃった。ああおかしい。」


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