宮沢賢治 『風の又三郎』 「おおむぞやな。な。なんぼが泣いだがな。そ…

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青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『風の又三郎』

現代語化

「大丈夫だったか?どんなに泣いたか。その輪は金山掘りの輪だな。さあさあみんな団子食べろ。食べろ。ほら、こっちを今焼くからな。みんなどこまで行ったんだ。」
「笹長根の入り口だよ。」
「危なかったなぁ。危なかったなぁ。向こう側に落ちたら馬も人も終わりだったぞ。さあ嘉助、団子食べろ。この輪も食べろ。さあさあ、こっちのも食べろ。」
「おじいさん。馬を置いてくるよ。」
「うんうん。牧夫が来るまでまだうるさいだろうから、ちょっとの間待ってろ。またすぐ晴れる。ああ心配した。俺も虎こ山の下まで見に行って来た。はあ、良かった。雨も止んだ。」
「今朝は本当によい天気だったのに。」
「うん。またよくなるよ。あ、雨漏ってきたな。」
「おじいさん。明るくなった。雨が上がったよ。」
「うんうん、そうか。さあみんなよく火にあたれ、俺はまた草刈りをするからな。」

原文 (会話文抽出)

「おおむぞやな。な。なんぼが泣いだがな。そのわろは金山掘りのわろだな。さあさあみんな団子たべろ。食べろ。な、今こっちを焼ぐがらな。全体どこまで行ってだった。」
「笹長根のおり口だ。」
「あぶないがった。あぶないがった。向こうさ降りだら馬も人もそれっ切りだったぞ。さあ嘉助、団子食べろ。このわろもたべろ。さあさあ、こいづも食べろ。」
「おじいさん。馬置いでくるが。」
「うんうん。牧夫来るどまだやがましがらな、したども、も少し待で。またすぐ晴れる。ああ心配した。おれも虎こ山の下まで行って見で来た。はあ、まんつよがった。雨も晴れる。」
「けさほんとに天気よがったのにな。」
「うん。またよぐなるさ、あ、雨漏って来たな。」
「おじいさん。明るぐなった。雨あ霽れだ。」
「うんうん、そうが。さあみんなよっく火にあだれ、おらまた草刈るがらな。」


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