宮沢賢治 『風の又三郎』 「わあ、おらの机さ石かけはいってるぞ。」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『風の又三郎』

現代語化

「わぁ、俺の机に石が入ってるぞ。」
「わぁ、俺の机が変わってるぞ。」
「キッコ、キッコ、うちら通信簿持って来た?俺忘れたんだよ。」
「わぁ、それ、木のペン貸して、木のペン貸してったら。」
「わぁ、ないじゃん。人のノート取っていって。」
「ありがとう。」
「静かに、皆さん。静かにするんです。」
「しっ、悦治、うるさいったら、嘉助も、喜っこも。わぁ。」
「皆さん、長い夏休みは楽しかったですね。皆さん、朝から水泳もできたし、森の中で鷹にも負けないくらい高く叫んだり、お兄さんの草刈りに付いて上の原っぱへ行ったりしたでしょう。でももう昨日で休みは終わりました。これからは2学期で秋です。昔から秋は一番体も心も引き締まって、勉強ができる時だと言われているんです。ですから、皆さんも今日からまた一緒にしっかり勉強しましょう。それからこのお休みの間に皆さんの友達が一人増えました。それはあそこにいる高田さんです。その方のお父さんは今、会社の用事で上の原っぱの入り口に住んでいらっしゃるんです。高田さんは今まで北海道の学校にいたんですけど、今日から皆さんの友達になるんですから、皆さんは学校で勉強している時も、また栗拾いや魚釣りに行く時も、高田さんを誘うようにしなければなりません。わかりましたか?わかった人は手を挙げてごらんなさい。」
「わかりましたね、ではよし。」
「先生。」
「はい。」
「高田さんの名前ってなんて言うんですか?」
「高田三郎さんです。」
「わぁ、すごい、それじゃあやっぱり又三郎だな。」

原文 (会話文抽出)

「わあ、おらの机さ石かけはいってるぞ。」
「わあ、おらの机代わってるぞ。」
「キッコ、キッコ、うな通信簿持って来たが。おら忘れで来たぢゃあ。」
「わあい、さの、木ペン借せ、木ペン借せったら。」
「わあがない。ひとの雑記帳とってって。」
「礼。」
「しずかに、みなさん。しずかにするのです。」
「しっ、悦治、やがましったら、嘉助え、喜っこう。わあい。」
「みなさん、長い夏のお休みはおもしろかったですね。みなさんは朝から水泳ぎもできたし、林の中で鷹にも負けないくらい高く叫んだり、またにいさんの草刈りについて上の野原へ行ったりしたでしょう。けれどももうきのうで休みは終わりました。これからは第二学期で秋です。むかしから秋はいちばんからだもこころもひきしまって、勉強のできる時だといってあるのです。ですから、みなさんもきょうからまたいっしょにしっかり勉強しましょう。それからこのお休みの間にみなさんのお友だちが一人ふえました。それはそこにいる高田さんです。そのかたのおとうさんはこんど会社のご用で上の野原の入り口へおいでになっていられるのです。高田さんはいままでは北海道の学校におられたのですが、きょうからみなさんのお友だちになるのですから、みなさんは学校で勉強のときも、また栗拾いや魚とりに行くときも、高田さんをさそうようにしなければなりません。わかりましたか。わかった人は手をあげてごらんなさい。」
「わかりましたね、ではよし。」
「先生。」
「はい。」
「高田さん名はなんて言うべな。」
「高田三郎さんです。」
「わあ、うまい、そりゃ、やっぱり又三郎だな。」


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