宮沢賢治 『銀河鉄道の夜』 「どうもありがとう。どこでできるのですか。…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『銀河鉄道の夜』

現代語化

「どうもありがとう。どこで採れるんすか?こんな立派なリンゴは。」
「この辺じゃ農業もやるんだけど、たいてい勝手にいいものができるようになってるんす。農業もたいして大変じゃないよ。欲しい種をまけば勝手にどんどんできちゃう。米だって太平洋の方みたいに殻もなくて、10倍も大きくていいにおいなんだぜ。でもあんたのとこは農業はもうないだろ?リンゴとかお菓子とか、かすも全然ないし。だからみんながそれぞれちょっとだけいいにおいになっちゃって、毛穴からバラけちゃうんだ。」
「あ、さっきさ、おふくろの夢見たんすよ。おふくろがさ、立派な食器棚とか本があるところにいて、こっちを見て手を振ってニコニコ笑ってたんすよ。おふくろ、リンゴ拾ってくるよって言ったら目が覚めちゃった。あ、ここさっきの電車の中だったんだ。」
「そのリンゴ、そこにあるよ。このおじさんに貰ったの。」
「ありがとうおじさん。おや、かおる姉ちゃんまだ寝てるのか?起こしてやろう。姉ちゃん、見て、リンゴ貰ったよ。起きろよ。」

原文 (会話文抽出)

「どうもありがとう。どこでできるのですか。こんな立派な苹果は。」
「この辺ではもちろん農業はいたしますけれども大ていひとりでにいいものができるような約束になって居ります。農業だってそんなに骨は折れはしません。たいてい自分の望む種子さえ播けばひとりでにどんどんできます。米だってパシフィック辺のように殻もないし十倍も大きくて匂もいいのです。けれどもあなたがたのいらっしゃる方なら農業はもうありません。苹果だってお菓子だってかすが少しもありませんからみんなそのひとそのひとによってちがったわずかのいいかおりになって毛あなからちらけてしまうのです。」
「ああぼくいまお母さんの夢をみていたよ。お母さんがね立派な戸棚や本のあるとこに居てね、ぼくの方を見て手をだしてにこにこにこにこわらったよ。ぼくおっかさん。りんごをひろってきてあげましょうか云ったら眼がさめちゃった。ああここさっきの汽車のなかだねえ。」
「その苹果がそこにあります。このおじさんにいただいたのですよ。」
「ありがとうおじさん。おや、かおるねえさんまだねてるねえ、ぼくおこしてやろう。ねえさん。ごらん、りんごをもらったよ。おきてごらん。」


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