宮沢賢治 『銀河鉄道の夜』 「君たちは参観かね。」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 宮沢賢治 『銀河鉄道の夜』

現代語化

「君たちは参観かね」
「くるみがたくさんあっただろう。それはまあ、ざっと120万年ぐらい前のくるみだよ。かなり新しい方さ。ここは120万年前、第三紀のあとのころは海岸でね、この下からは貝殻も出る。今川の流れているところには、昔海水が寄せたり引いたりしていたんだ。この動物ね、これはボスといってね、おいおい、そこツルハシはやめてくれ。丁寧にノミでやってくれ。ボスといってね、今の牛の先祖で、昔はたくさんいたんだよ」
「標本にするんですか」
「いや、証明するために必要なんだ。僕たちからみると、ここは厚い立派な地層で、120万年ぐらい前にできたという証拠もいろいろ見つかるんだけど、僕たちとは違うやつから見てもやっぱりこんな地層に見えるかどうか、あるいは風か水か何もない空っぽに見えるんじゃないかということなんだ。わかるかい。でも、おいおい。そこもスコップじゃダメだ。そのすぐ下に肋骨が埋もれてるはずじゃないか」
「もう時間だよ。行こう」
「ああ、では僕たちは失礼します」
「そうですか。いや、さよなら」

原文 (会話文抽出)

「君たちは参観かね。」
「くるみが沢山あったろう。それはまあ、ざっと百二十万年ぐらい前のくるみだよ。ごく新らしい方さ。ここは百二十万年前、第三紀のあとのころは海岸でね、この下からは貝がらも出る。いま川の流れているとこに、そっくり塩水が寄せたり引いたりもしていたのだ。このけものかね、これはボスといってね、おいおい、そこつるはしはよしたまえ。ていねいに鑿でやってくれたまえ。ボスといってね、いまの牛の先祖で、昔はたくさん居たさ。」
「標本にするんですか。」
「いや、証明するに要るんだ。ぼくらからみると、ここは厚い立派な地層で、百二十万年ぐらい前にできたという証拠もいろいろあがるけれども、ぼくらとちがったやつからみてもやっぱりこんな地層に見えるかどうか、あるいは風か水やがらんとした空かに見えやしないかということなのだ。わかったかい。けれども、おいおい。そこもスコープではいけない。そのすぐ下に肋骨が埋もれてる筈じゃないか。」
「もう時間だよ。行こう。」
「ああ、ではわたくしどもは失礼いたします。」
「そうですか。いや、さよなら。」


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