岡本かの子 『富士』 「来る道で、実は福慈岳へも寄ってみたよ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本かの子 『富士』

現代語化

「来る道で、実は福慈岳にも寄ってみたんだ」
「それはよかったです。お姉さんも喜ばれたでしょう」
「ところが運悪く祭の日だったんで、泊めてもらえなかったよ」
「それは残念でしたね。あちらはこっちと違って、いろいろと厳しいところがありますからね」
「おまえたちは福慈と交流ないのかい?」
「自分の持っている山が忙しいので、ついつい疎遠になってます」
「前は姉のところにもときどきお伺いしてたんだけど、あの人は偉い人だから、すぐこっちの話題がなくなっちゃったり、勉強家だから、邪魔しても迷惑かけそうだと思ったりして、ついついご無沙汰しちゃったんです」
「ずいぶん、普通の女の子とは違ってますよね」
「どういうわけか、あの人と会うと威圧される気がして、つい構えてしまう。姉弟なのに打ち解けられない」

原文 (会話文抽出)

「来る道で、実は福慈岳へも寄ってみたよ」
「それは何よりでございました。姉さんもお歓びでございましたでしょう」
「ところが生憎と祭の日だったのでね。泊めて貰うこともできなかったよ」
「そりゃお気の毒なことでございました。あちらはこちらと違って諸事、厳しいところもございましょう」
「おまえ等は、福慈とは交際っていないのかい」
「なにしろ自分の持山のことで忙しく、ついついご無沙汰をしております」
「前にはお姉さまのところへも、ときどき伺ってみましたのですが、ああいうお偉い方のことですから、すぐこっちに話の接穂が無くなってしまう場合も多く、それにああいうご勉強家のことですから、お邪魔しましても、何かお妨げするような気もいたしますので、ついついご無沙汰勝ちになってしまったのでございますわ」
「ずいぶん、普通の女の子とは変っていらっしゃいますわね」
「どういうものか、あの人の前へ出ると、威圧される気がするところから、つい心にもない肩肘の張り方をしてしまう。どうも姉弟ながらうち解けにくい」


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