岡本かの子 『富士』 「情のこわい女だぞ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本かの子 『富士』

現代語化

「情に厚い女だよ」
「何をまだ、この上、親を断っても修行のお祭りをしようというの? もうこんなに立派な山やお前に何の力や個性を付け加えようっていうの、欲張り」
「結局、お父さんは、山の祖神なのにこの福慈さんだけをご存じないことになるわね。いいわよ、夜明けのお祭りまでにはまだ時間もあることだし。お話しましょう」
「お父さん、この福慈岳は火山が背骨で、岩が肋骨で、砂が肉付いた、わずかな間も苦しみと美しさと成長が止まらない、大変に修行をしている山なんです。見くびらないでくださいね」

原文 (会話文抽出)

「情のこわい女だぞ」
「何をまだ、この上、親を断っても修業の祭をしようというのだ。いやさ、これほど出来上った山やおまえに何の力や性格を増し加えようというのだ、慾張り」
「結局、おとうさまは、山の祖神の癖にこの福慈神だけはお知りになっていないことに帰着いたしますわね。よろしゅうございます、暁の祭までにはまだ間の時刻もございます。お話いたしましょう」
「おとうさま、この福慈岳は火を背骨に岩を肋骨に、砂を肉に附けていて少しの間も苦悩と美しさと成長の働をば休めない大修業底の山なのでございますわ。見損じて下さいますな」


青空文庫現代語化 Home リスト