GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『戯作三昧』
現代語化
「それはそうだけど、改作させられても、あんたが恥かくわけじゃないでしょ。改名主がどう言おうと、いい作品ならきっと価値があるはず」
「それにしても、横暴すぎることが多いよね。そういえば昔、牢屋で飯食送る話書いただけで、6行くらい削られたことあったわ」
「でも、50年か100年経ったら改名主はいなくなるけど、八犬伝は残ってるでしょ」
「八犬伝が残るに残らないに関わらず、改名主は意外といなくなる気がしないよ」
「そうかな。俺にはそう見えないけど」
「いや、改名主はいなくなっても、改名主義みたいな奴はいつの時代もいるもんだ。焚書坑儒なんて昔だけの話じゃないからね」
「あんた最近、ネガティブなことばっか言うね」
「俺がネガティブなわけじゃない。改名主義者がはびこる世の中がネガティブなんだ」
「じゃ、あんたもどんどん仕事すればいいじゃん」
「ま、それしかないみたいだな」
「またご自由に戦死ってこと?」
原文 (会話文抽出)
「改名主などいうものは、咎め立てをすればするほど、尻尾の出るのがおもしろいじゃありませんか。自分たちが賄賂をとるものだから、賄賂のことを書かれると、嫌がって改作させる。また自分たちが猥雑な心もちにとらわれやすいものだから、男女の情さえ書いてあれば、どんな書物でも、すぐ誨淫の書にしてしまう。それで自分たちの道徳心が、作者より高い気でいるから、傍痛い次第です。言わばあれは、猿が鏡を見て、歯をむき出しているようなものでしょう。自分で自分の下等なのに腹を立てているのですからな。」
「嫉海惑篭廚糧耜箸?△泙蠻?瓦覆里如∋廚錣瑳詐个靴覆?蕁?<br />「それは大きにそういうところもありましょう。しかし改作させられても、それは御老人の恥辱になるわけではありますまい。改名主などがなんと言おうとも、立派な著述なら、必ずそれだけのことはあるはずです。」
「それにしても、ちと横暴すぎることが多いのでね。そうそう一度などは獄屋へ衣食を送る件を書いたので、やはり五六行削られたことがありました。」
「しかしこの後五十年か百年たったら、改名主の方はいなくなって、八犬伝だけが残ることになりましょう。」
「八犬伝が残るにしろ、残らないにしろ、改名主の方は、存外いつまでもいそうな気がしますよ。」
「そうですかな。私にはそうも思われませんが。」
「いや、改名主はいなくなっても、改名主のような人間は、いつの世にも絶えたことはありません。焚書坑儒が昔だけあったと思うと、大きに違います。」
「御老人は、このごろ心細いことばかり言われますな。」
「私が心細いのではない。改名主どものはびこる世の中が、心細いのです。」
「では、ますます働かれたらいいでしょう。」
「とにかく、それよりほかはないようですな。」
「そこでまた、御同様に討死ですか。」