国木田独歩『窮死』「文公、そうだ君の名は文さんとか言ったね。…

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青空文庫図書カード: 国木田独歩『窮死』

現代語化

「文公、そうだ。君の名前は文さんだったね。調子はどうかね」
「ありがとう。どうせ長くはないでしょう」
「そんなに落ち込まないでください。元気を出してください」
「長くはないでしょう」
「6銭しかないけど、それで何か作って……」

「文公、そうだ君の名は文さんとか言ったね。からだはどうだね。」
「ありがとう、どうせ長くはあるまい。」
「そう気を落とすものじゃアない、しっかりなさい」
「長くあるまい」
「六銭しかない、これでなんでもいいから……」