國木田獨歩 『少年の悲哀』 「明日、明後日、明々後日」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 國木田獨歩 『少年の悲哀』

現代語化

「明日、明後日、明々後日」
「明々後日に決まったの。でも、私は今になってまた気が迷ってきたのよ」
「今さらどうこう言っても仕方ないじゃないか」
「それはそうだけど――考えてみると死んだ方がいいのかもしれないと思うと」
「はははは。坊ちゃん、このお姉さんが死ぬって言ってるんだけどどうしましょう?――おいおい、約束の坊ちゃんを連れてきたんだ。よく見てくれないか?」
「さっきから見てるわよ。なるほどよく似てると思って感心してたの」
「誰に似てるんだ?」
「私の弟に似てるんです。坊ちゃんを弟に似てるなんて失礼だけど、ほら、これを見てください」
「坊ちゃん、このお姉さんがこの写真を徳に見せたら、これはうちのお坊ちゃんと全然変わらないと言いましたからぜひ連れてきてくれって頼むんです。それで今晩坊ちゃんを連れてきたんだから、たくさんご馳走してもらわなくっちゃいけませんぞ」
「さあ、何でもご馳走しますよ。坊ちゃん、何がお好きですか?」
「何にもいらない」
「それじゃ船に乗りましょう。私と船に乗りましょう。そうしましょうよ」

原文 (会話文抽出)

「明日、明後日、明々後日」
「明々後日に決定つたの。然しね、私は今になつて又氣が迷つて來たのよ」
「今更如何と言つて爲方がないじやアないか。」
「それはさうだけれど――考へて見ると死んだはうが何程増しだか知れないと思つて。」
「ハツハツヽヽヽヽ坊樣、此姉樣が死ぬと言ひますが如何しましようか。――オイオイ約束の坊樣を連れて來たのだ、能く見て呉れないか。」
「先刻から見て居るのよ、成程能く似て居ると思つて感心して居るのよ。」
「誰に似て居るのだ。」
「私の弟にですよ、坊樣を弟に似て居るなどともつたいない事だけれど、そら、これを御覽なさい。」
「坊樣、此姉樣が其寫眞を徳に見せましたから、これは宅の坊樣と少しも變らんと言ひましたら是非連れて來て呉れと頼みますから今夜坊樣を連れて來たのだから、澤山御馳走を爲て貰はんと可けませんぞ。」
「サア何でも御馳走しますとも、坊樣何が可う御座いますか」
「何にもいらない」
「それじや舟へ乘りましよう、私と舟へ乘りましよう、え、さう爲ましよう。」


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