国木田独歩 『二老人』 「徳さん少し待っておくれ。じき勝負がつくか…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 国木田独歩 『二老人』

現代語化

「徳さん、ちょっと待ってくれ。すぐ勝負がつくから」
「どうぞゆっくり」
「徳さんは碁が打てるのかな?」
「全然だめです」
「でも四つ目殺しぐらいはできるだろう?」
「五目並べならできます」
「はははは、五目並べじゃしかたがない」
「叔母さんが碁を打つなんて、僕は知りませんでした」
「私ですか、私はこれでずいぶん古いんですよ」
「しょっちゅう打っていらっしゃったんですか?」
「いいえ、やたらに打ち出したのはこの家に入ってからです。ちょっとこれを待っててください」
「ダメです」
「だってこの切断は完全に私の見落としなんですもの」
「だからさっきから、わしは「待ちませんよ」って」
「待ちませんよ」
「待ちませんはあなたの口癖ですよ」
「誰がそんな癖をつけました、私に」
「それじゃどうあっても待ってくれないの?」
「待ちませんよ、癖になるから」
「それじゃ投げましょう。そこが切れては碁になりませんもの」
「まずそんな形があるもんだね」

原文 (会話文抽出)

「徳さん少し待っておくれ。じき勝負がつくから」
「どうかごゆっくり。」
「徳さんは碁が打てたかね。」
「まるでだめです。」
「でも四つ目殺しぐらいはできるだろう。」
「五目並べならできます。」
「ハハヽヽヽヽ五目並べじゃしかたがない。」
「叔母さんが碁をお打ちになることは、僕ちっとも知りませんでした。」
「わたしですか、わたしはこれでずいぶん古いのですよ。」
「しょっちゅう打っていらっしゃったのですか。」
「いいえ、やたらに打ちだしたのは此家へ引っこんでからですよ。――ちょっとこれを待ってちょうだい。」
「なりません。」
「だってこの切断は全くわたしの見落としですもの。」
「だからさっきから、わしは「待ちませんよ、」
「待ちませんよ」
「待ちませんはあなたの口癖ですよ。」
「だれがそんな癖をつけました、わたしに。」
「それじゃどうあっても待ってくださらんの。」
「マア待ちますまい、癖になるから。」
「それじゃ投げましょう。そこが切れては碁にはなりませんもの。」
「まずそう言ったような形だね。」


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