芥川龍之介 『偸盗』 「しかし、それは卑怯だ。」…

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青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『偸盗』

現代語化

「それって、ずるくない？」
「ずるくても、しょうがないじゃん。」
「ずるくても、仲間を危険に巻き込むなんて…」
「一人ならいいの？なんで？」
「太郎を殺すなら、仲間なんて何人殺してもいいでしょ。」
「おばあちゃんは？」
「死んだら、その時考えればいい。」
「あんたの為に、俺たちを殺してもいいんだ。」

原文 (会話文抽出)

「しかし、それは卑怯だ。」
「卑怯でも、しかたがなくはない？」
「それも、兄き一人やるのならいいが、仲間を皆、あぶない目に会わせてまで――」
「一人やるのならいいの？　なぜ？」
「太郎さんを殺していいんなら、仲間なんぞ何人殺したって、いいでしょう。」
「おばばはどうする？」
「死んだら、死んだ時の事だわ。」
「あなたのためなら、わたしたれを殺してもいい。」

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