GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 芥川龍之介 『偸盗』
現代語化
「それはもう死んでるってことだよ。」
「死んでたって、犬に食わせるなんて酷いよ。」
「何が酷いんだ? 死んでしまえば、犬に食われても痛くないだろ。」
「死ななくても、ぐったりしてるよりは、いっそのこと犬に喉元を噛み切られた方がマシかもしれないね。どうせ長く生きられないんだから。」
「だって、人間が犬に食われるのを黙って見てられないでしょ。」
「それなのに、人間同士が殺し合うのは平気で見てるじゃないか。」
「確かにそうだな。」
「おばあちゃん、どこに行くの?」
「真木島の十郎と、高市の多襄丸に…あ、そうだ。関山の平六には、お前にお願いしようかな。」
原文 (会話文抽出)
「そんな事をしたって、だめだよ。さっきなんぞは、犬に食いつかれてさえ、やっぱりじっとしていたんだから。」
「それじゃ、死んでいるのさ。」
「死んでいたって、犬に食わせるのは、ひどいやね。」
「何がひどいものかね。死んでしまえば、犬に食われたって、痛くはなしさ。」
「死ななくったって、ひくひくしているよりは、いっそ一思いに、のど笛でも犬に食いつかれたほうが、ましかもしれないわね。どうせこれじゃ、生きていたって、長い事はありゃせずさ。」
「だって、人間が犬に食われるのを、黙って見てもいられないじゃないか。」
「そのくせ、人間が人間を殺すのは、お互いに平気で、見ているじゃないか。」
「そう言えば、そうさ。」
「どこへ行くのだい、おばばは。」
「真木島の十郎と、高市の多襄丸と、――ああ、そうだ。関山の平六へは、お前さんに、言づけを頼もうかね。」