太宰治 『お伽草紙』 「いかが?」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 太宰治 『お伽草紙』

現代語化

「どうですか?」
「いや、もう充分。でも、これは、いいお酒だね」
「気に入りましたか。笹の露ですよ」
「最高」
「え?」
「最高」
「あら、お照さんが笑ってるわ。何か言いたいんでしょうけど」
「言えなくても、いいんだよ。そうだろ?」
「さ、それじゃあ失礼します。また来ます」
「もうお帰りになるの?凍え死にそうになるまで竹藪の中を捜し歩いて、やっと今日会えたのに、優しいお見舞いの言葉一つかけないで――」
「優しい言葉だけは、ご免だ」
「お照さん、いいの?お返ししても」
「どっちも、どっちよね」
「それじゃあ、また来てくださいね」
「来ます」
「ここは、どこ?」
「竹藪の中ですよ」
「はて?−藪の中に、こんな変な家があったかしら」
「あるんです」
「でも、普通の人には見えないんです。竹藪のあの入り口のところで、今みたいに雪の上にうつぶせになってたら、私たちは、ここからご案内しますわ」
「ありがたいです」

原文 (会話文抽出)

「いかが?」
「いや、もうたくさん。しかし、これは、よいお酒だ。」
「お気に召しましたか。笹の露です。」
「よすぎる。」
「え?」
「よすぎる。」
「あら、お照さんが笑つてゐるわ。何か言ひたいのでせうけれど。」
「言へなくたつて、いいのさ。さうだね?」
「さ、それでは失礼しよう。また来る。」
「まあ、もうお帰りになるの? こごえて死にさうになるまで、竹藪の中を捜し歩いていらして、やつとけふ逢へたくせに、優しいお見舞ひの言葉一つかけるではなし、――」
「優しい言葉だけは、ごめんだ。」
「お照さん、いいの? おかへししても。」
「どつちも、どつちだわね。」
「それぢやあ、またどうぞいらして下さいね。」
「来ます。」
「ここは、どこだね。」
「竹藪の中です。」
「はて?−籔の中に、こんな妙な家があつたかしら。」
「あるんです。」
「でも、普通のひとには見えないんです。竹藪のあの入口のところで、けさのやうに雪の上に俯伏していらしたら、私たちは、いつでもここへご案内いたしますわ。」
「それは、ありがたい。」


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