太宰治 『お伽草紙』 「あれは何だ。山か。」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 太宰治 『お伽草紙』

現代語化

「あれ何?山?」
「そうす。」
「竜宮城の山?」
「そす。」
「めっちゃ白くない?雪降ってんのかな?」
「高級な身分だと、頭の中も違うんだな。立派なもんだな。海底にも雪降ると思うんだもん。」
「でも海底も火事あるんだってさ。」
「雪だって降るっしょ。だって酸素あんじゃん。」
「雪と酸素って遠いやん。仮にあったとしても、風と桶屋みたいなもんじゃねえの。バカバカしい。そんなので俺を抑えようたってムリ。上品な人って、おちゃめ下手くそだなー。雪は良いけど、帰りは怖いってのはどうだ?微妙かもな。でも酸素よりはマシだろ。さんそネツ?ウンコみたいじゃん。酸素ってどうにもダメだなー。」
「ところで、あの山って。」
「ところでって言っても、大したことないじゃん。あの山は、雪降ってるんじゃなくて真珠の山なのよ。」
「真珠?」
「嘘でしょ。真珠を10万粒20万粒重ねたところで、あんなデカい山にはならないっしょ。」
「10万粒、20万粒とかケチくせえ数え方だな。竜宮城じゃ真珠を一粒二粒なんて数えないよ。山単位だよ。一山は300億くらいだっていうけど、誰一人ちゃんと数えたことない。それを100万山くらい積むと、あのくらいの山ができるんだ。真珠って捨てる場所困ってるくらい余ってるんだ。元をたどれば魚のウンチだからさー。」

原文 (会話文抽出)

「あれは何だ。山か。」
「さうです。」
「竜宮の山か。」
「さうです。」
「まつ白ぢやないか。雪が降つてゐるのかしら。」
「どうも、高級な宿命を持つてゐる人は、考へる事も違ひますね。立派なものだ。海の底にも雪が降ると思つてゐるんだからね。」
「しかし、海の底にも火事があるさうだし、」
「雪だつて降るだらうさ。何せ、酸素があるんだから。」
「雪と酸素ぢや縁が遠いや。縁があつても、まづ、風と桶屋くらゐの関係ぢやないか。ばかばかしい。そんな事で私をおさへようたつて駄目さ。どうも、お上品なお方たちは、洒落が下手だ。雪はよいよい帰りはこはいつてのはどんなもんだい。あんまり、うまくもねえか。それでも酸素よりはいいだらう。さんそネツと来るか。はくそみたいだ。酸素はどうも、助からねえ。」
「ところで、あの山は、」
「ところで、とは大きく出たぢやないか。ところであの山は、雪が降つてゐるのではないのです。あれは真珠の山です。」
「真珠?」
「いや、嘘だらう。たとひ真珠を十万粒二十万粒積み重ねたつて、あれくらゐの高い山にはなるまい。」
「十万粒、二十万粒とは、ケチな勘定の仕方だ。竜宮では真珠を一粒二粒なんて、そんなこまかい算へ方はしませんよ。一山、二山、とやるね。一山は約三百億粒だとかいふ話だが、誰もそれをいちいち算へた事も無い。それを約百万山くらゐ積み重ねると、まづざつとあれくらゐの峰が出来る。真珠の捨場には困つてゐるんだ。もとをただせば、さかなの糞だからね。」


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