太宰治 『人間失格』 「罪ってのは、君、そんなものじゃないだろう…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 太宰治 『人間失格』

現代語化

「罪ってのは、君、そんなものじゃないだろう」
「それじゃあ、なんだい、神か? お前には、どこかキリスト教徒っぽいところがあるからな。いや味だぜ」
「まあそんなに、軽く片づけるなよ。もう少し、二人で考えてみよう。これはでも、面白いテーマじゃないか。このテーマに対する答え一つで、その人の全部がわかるような気がするんだ」
「まさか。……罪のアントは、善さ。善良なる市民。つまり、俺みたいなものさ」
「冗談はよそうよ。でも、善は悪のアントだ。罪のアントではない」
「悪と罪とは違うのかい?」
「違う、と思う。善悪の概念は人間が作ったものだ。人間が勝手に作った道徳の言葉だ」
「うるせえなあ。それじゃ、やっぱり、神だろう。神、神。なんでも、神にしておけば間違いない。腹が減ったなあ」
「今、下でヨシ子がそら豆を煮てるよ」
「ありがたい。好物だ」
「君には、罪というものが、まるで興味ないらしいね」
「そりゃそうさ、お前みたいに罪人じゃないんだから。俺は道楽はするけど、女を殺したり、女から金を巻き上げたりなんかはしないよ」

原文 (会話文抽出)

「罪ってのは、君、そんなものじゃないだろう」
「それじゃあ、なんだい、神か? お前には、どこかヤソ坊主くさいところがあるからな。いや味だぜ」
「まあそんなに、軽く片づけるなよ。も少し、二人で考えて見よう。これはでも、面白いテーマじゃないか。このテーマに対する答一つで、そのひとの全部がわかるような気がするのだ」
「まさか。……罪のアントは、善さ。善良なる市民。つまり、おれみたいなものさ」
「冗談は、よそうよ。しかし、善は悪のアントだ。罪のアントではない」
「悪と罪とは違うのかい?」
「違う、と思う。善悪の概念は人間が作ったものだ。人間が勝手に作った道徳の言葉だ」
「うるせえなあ。それじゃ、やっぱり、神だろう。神、神。なんでも、神にして置けば間違いない。腹がへったなあ」
「いま、したでヨシ子がそら豆を煮ている」
「ありがてえ。好物だ」
「君には、罪というものが、まるで興味ないらしいね」
「そりゃそうさ、お前のように、罪人では無いんだから。おれは道楽はしても、女を死なせたり、女から金を巻き上げたりなんかはしねえよ」


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