GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 太宰治 『人間失格』
現代語化
「どんな相談？」
「それはあなたの中にあるんでしょ？」
「例えば？」
「例えば、これからどうするつもり？」
「働いたほうがいいですか？」
「いや、あなたの気持ちはどうなの？」
「だって、学校に行くって言っても、……」
「そりゃ金がかかる。でも、問題は金じゃない。あなたの気持ちよ」
「どうですか？ 何か、将来の夢とかありますか？ そもそも、人を世話するってのは、世話されてる人にはわからんもんだ」
「すみません」
「そりゃ心配だよ。私もあなたの世話をする以上、中途半端な気持ちでいてほしくない。更生の道を歩む覚悟を見せてほしいんだ。例えば、将来の計画とか、そういうのをあなたからちゃんと相談されたら、私も応じるつもり。貧乏な俺の援助だから、昔みたいぜいたくはできないけど、あなたの気持ちがしっかりしてて、将来の計画が明確なら、ちょっとずつでも協力するつもり。わかるよね？ 私の気持ち。で、これからどうするつもり？」
「ここに置いてもらえなかったら、働いて、……」
「本気で言ってるの？ 今の世の中、東大卒でも、……」
「いいえ、サラリーマンじゃないんです」
「じゃ、何？」
「画家です」
「へぇ？」
原文 (会話文抽出)
「真面目に私に相談を持ちかけてくれる気持が無ければ、仕様がないですが」
「どんな相談？」
「それは、あなたの胸にある事でしょう？」
「たとえば？」
「たとえばって、あなた自身、これからどうする気なんです」
「働いたほうが、いいんですか？」
「いや、あなたの気持は、いったいどうなんです」
「だって、学校へはいるといったって、……」
「そりゃ、お金が要ります。しかし、問題は、お金でない。あなたの気持です」
「どうですか？ 何か、将来の希望、とでもいったものが、あるんですか？ いったい、どうも、ひとをひとり世話しているというのは、どれだけむずかしいものだか、世話されているひとには、わかりますまい」
「すみません」
「そりゃ実に、心配なものです。私も、いったんあなたの世話を引受けた以上、あなたにも、生半可な気持でいてもらいたくないのです。立派に更生の道をたどる、という覚悟のほどを見せてもらいたいのです。たとえば、あなたの将来の方針、それに就いてあなたのほうから私に、まじめに相談を持ちかけて来たなら、私もその相談には応ずるつもりでいます。それは、どうせこんな、貧乏なヒラメの援助なのですから、以前のようなぜいたくを望んだら、あてがはずれます。しかし、あなたの気持がしっかりしていて、将来の方針をはっきり打ち樹て、そうして私に相談をしてくれたら、私は、たといわずかずつでも、あなたの更生のために、お手伝いしようとさえ思っているんです。わかりますか？ 私の気持が。いったい、あなたは、これから、どうするつもりでいるのです」
「ここの二階に、置いてもらえなかったら、働いて、……」
「本気で、そんな事を言っているのですか？ いまのこの世の中に、たとい帝国大学校を出たって、……」
「いいえ、サラリイマンになるんでは無いんです」
「それじゃ、何です」
「画家です」
「へええ？」