GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 太宰治 『乞食学生』
現代語化
「君は寝ちゃったじゃないか。だらしないね」
「寝た?僕?」
「そうさ。可哀そうなアベルの話をしてるうちに、君はぐうぐう寝ちゃったじゃないか。君は仙人みたいだったぞ」
「まさか」
「ゆうべからちょっとも寝ないで仕事をしていたものだから、疲れが出ちゃったんだね。長いこと寝てたかい?」
「なに十分か十五分かな?ああ、寒くなった。僕はもう帰るぜ。失礼」
「待ちたまえ」
「君は高校の生徒じゃなかったかね?」
「当たり前さ。大学に入るまでは高校さ。君は本当に頭が悪いね」
「いつから大学生になったんだい?」
「ことしの3月さ」
「そうかね。君は佐伯五一郎というんだろう?」
「寝ぼけていやがる。僕はそんな名前じゃないよ」
「そうかね。じゃ、何だってこの川を裸で泳いだりしたんだね?」
「この川が気に入ったからさ。それくらいの気まぐれは許してくれたっていいじゃないか」
「変なこと聞くようだが、君の友人に熊本君っていう人がいないかね?ちょっと、こう気取った人で」
「熊本?――いないね。やはり工科かね?」
「そうじゃないんだ。みんな夢かな?僕はその熊本君にも会いたいんだがね」
「何を言ってるんだ。寝ぼけてるんだよ。しっかりしなさい。僕は帰るぜ」
「ああ、失礼。君、君」
「勉強しなさいよ」
「おおきに世話になった」
原文 (会話文抽出)
「おい、僕は帰るぞ。」
「君は、眠っちゃったじゃないか。だらしないね。」
「眠った? 僕が?」
「そうさ。可哀そうなアベルの話を聞かせているうちに、君は、ぐうぐう眠っちゃったじゃないか。君は、仙人みたいだったぞ。」
「まさか。」
「ゆうべから、ちっとも寝ないで仕事をしていたものだから、疲れが出ちゃったんだね。永いこと眠っていたかい?」
「なに十分か十五分かな? ああ、寒くなった。僕は、もう帰るぜ。しっけい。」
「待ち給え。」
「君は、高等学校の生徒じゃなかったかね?」
「あたり前さ。大学へはいる迄は、高等学校さ。君は、ほんとうに頭が悪いね。」
「いつから大学生になったんだい?」
「ことしの三月さ。」
「そうかね。君は、佐伯五一郎というんだろう?」
「寝呆けていやがる。僕は、そんな名前じゃないよ。」
「そうかね。じゃ、何だって、この川をはだかで泳いだりしたんだね?」
「この川が、気に入ったからさ。それくらいの気まぐれは、ゆるしてくれたっていいじゃないか。」
「へんな事を聞くようだが、君の友人に熊本君という人がいないかね? ちょっと、こう気取った人で。」
「熊本?――無いね。やはり、工科かね?」
「そうじゃないんだ。みんな夢かな? 僕は、その熊本君にも逢いたいんだがね。」
「何を言ってやがる。寝呆けているんだよ。しっかりし給え。僕は、帰るぜ。」
「ああ、しっけい。君、君、」
「勉強し給えよ。」
「大きにお世話だ。」