GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 太宰治 『乞食学生』
現代語化
「恥ずかしくて居ても立ってもいられなくなって、しまいにはあんな殺伐としたポーに飛びつくものさ。わかるよ。ナイフでも振り上げないと、どうにもならなくなったんだろう?」
「ちょっと待って下さい」
「そのナイフは僕のナイフです」
「佐伯君、ひどいじゃないか。そのナイフは、僕の机の左の引き出しに入ってたでしょ?君はさっき僕に無断で借りたのに違いない。僕は人間の名誉を重んじる方針なので、あえて盗んだとは言わない。早く返して。大事にしていたんだ。僕はこの人に帽子と制服は貸したけど、君にナイフまでは貸した覚えはないよ。返して。僕は姉からもらったんだ。大事にしてたんだよ。返して。そんなに乱暴に扱わないでよ。そのナイフには、小さなはさみやかんな切り、他にも3種類の小道具がついてるんだよ。デリケートなんだよ。だから返して」
原文 (会話文抽出)
「はははは。」
「恥ずかしくて、きりきり舞いした揚句の果には、そんな殺伐なポオズをとりたがるものさ。覚えがあるよ。ナイフでも、振り上げないことには、どうにも、形がつかなくなったのだろう?」
「待って下さい。」
「そのナイフは、僕のナイフです。」
「佐伯君、君はひどいじゃないか。そのナイフは、僕の机の左の引出しにはいっていたんでしょう? 君は、さっき僕に無断で借用したのに、ちがいありません。僕は、人間の名誉というものを重んずる方針なのだから、敢えて、盗んだとは言いません。早く返して下さい。僕は、大事にしていたんだ。僕は、この人に帽子と制服とだけは、お貸ししたけれど、君にナイフまでは、お貸しした覚えが無いのです。返して下さい。僕は、お姉さんから、もらったんだ。大事にしていたんですよ。返して下さい。そんなに乱暴に扱われちゃ困りますよ。そのナイフには、小さい鋏も、缶切りも、その他三種類の小道具が附いているんですよ。デリケエトなんですよ。ごしょうだから返して下さい。」