太宰治 『乞食学生』 「坐らないかね、君も。そんなに、ふくれてい…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 太宰治 『乞食学生』

現代語化

「座らない?そんなにむくれてると、君の顔は侍みたいに見えるね。昔の人の顔だ。室町時代と桃山時代、どっちが先か知ってる?」
「知らないよ」
「じゃあ、徳川10代将軍は誰だか知ってる?」
「知らない!」
「何も知らないんだなあ。君は学校の先生じゃないのかい?」
「そんなもんじゃない。僕は」
「小説を書いてるんだ。小説家、ってやつだよ」
「そうなんだ」
「小説家って、頭悪いんだね。君はガロアを知ってる?エヴァリスト・ガロア」
「聞いたことはある気がする」
「ちっ、外国人の名前だと、みんなごちゃ混ぜにして、聞いた気がするんだろう?何も知らない証拠だ。ガロアは数学者だよ。君にはわからないだろうけど、頭が良かったんだ。20歳で殺されちゃった。君も、もう少し本を読んだらどう?何も知らないじゃないの。かわいそうなアベルの話は知ってる?ニールス・ヘンリク・アベルだよ」
「それも数学者かい?」
「ふん、知ってるんだ。ガウスより頭良かったんだよ。26で死んじゃったのさ」

原文 (会話文抽出)

「坐らないかね、君も。そんなに、ふくれていると、君の顔は、さむらいみたいに見えるね。むかしの人の顔だ。足利時代と、桃山時代と、どっちがさきか、知ってるか?」
「知らないよ。」
「じゃ、徳川十代将軍は、誰だか知ってるかい?」
「知らん!」
「なんにも知らないんだなあ。君は、学校の先生じゃないのかい?」
「そんなもんじゃない。僕は、」
「小説を書いているんだ。小説家、というもんだ。」
「そうかね。」
「小説家って、頭がわるいんだね。君は、ガロアを知ってるかい? エヴァリスト・ガロア。」
「聞いた事があるような、気がする。」
「ちえっ、外国人の名前だと、みんな一緒くたに、聞いたような気がするんだろう? なんにも知らない証拠だ。ガロアは、数学者だよ。君には、わかるまいが、なかなか頭がよかったんだ。二十歳で殺されちゃった。君も、も少し本を読んだら、どうかね。なんにも知らないじゃないか。可哀そうなアベルの話を知ってるかい? ニイルス・ヘンリク・アベルさ。」
「そいつも、数学者かい?」
「ふん、知っていやがる。ガウスよりも、頭がよかったんだよ。二十六で死んじゃったのさ。」


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