海野十三 『ふしぎ国探検』 「先生、こんにちは」…

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青空文庫図書カード: 海野十三 『ふしぎ国探検』

現代語化

「先生、こんにちは」
「先生。今日は花束を持って来ちゃいました」
「ほう、ほう。きれいな花ですね。たくさんあるなぁ。ありがとう、ありがとう」
「じゃあ、これを樽ロケットの花瓶に入れましょう。ヒトミちゃんも東助くんも一緒に入って」
「先生。今日はどこに連れてってくれるんですか?」
「今日はですね、不思議力の国にご案内します」
「不思議力の国って、どんなとこなんですか?」
「みんな、ここに『A』と『B』という2つの物がある時、この2つの間には『引力』って力が働いて、お互いに引っ張り合いっこしてるってことを知ってるよね?」
「引力なら知ってます」
「よし。じゃあ引力の法則を知ってる? ニュートンが発見した法則だよ。どう? 東助くん」
「引力の法則は誰でも知っとかないといけない法則だから、僕も覚えてますよ。――2つの物体間の引力は、その2つの物体の質量の積に比例し、2つの物体の距離の2乗に反比例する。――これで合ってますよね?」
「それで合ってるよ。つまりここに物体Aと物体Bの2つだけがあったとする。そしたら、その物体同士には引力が働くんだ。その引力の大きさは、さっき東助くんが言った通り、AとBの質量――これは重さと考えてくれてもいいんだけど、それが大きければ大きいほど、引力は大きくなる。あと、AとBがどれくらい離れてるかって距離が近ければ近いほど、引力は大きくなる。逆に距離が遠くなればなるほど、引力は小さくなるんだ。今日はこの距離と力の関係を使って、面白いものを見せるね。これは人類にとって、ありがたい法則なんだよ」
「先生。今日の説明難しいです。もう一度言ってもらえますか?」
「ほう、ほう。そんなに難しいことじゃないよ。引力の法則って言葉を使うから難しく聞こえるけど、そんなに難しく考えないで、俺の話すことだけ考えてみて」
「はい。そうします」
「いいかい、ヒトミちゃん。引力っていうのは、物体Aと物体Bの距離の2乗に反比例するんだ。ははは、難しい顔になったね。それダメダメ――。AとBの距離が1メートルの時と2メートルの時、引力はどれくらい違うと思う? さっきの法則を使って考えてみて。ヒトミちゃん、計算してみてよ。簡単だよ」
「2つの物体の距離に――いや、距離の2乗に反比例するんだから、距離が1メートルの場合は1の2乗はやっぱり1です。この1に反比例するから分母にして、1/1。1/1はやっぱり1です」
「じゃあ距離が2メートルの場合はどうなる?」
「2メートルの場合は、2の2乗ってことは、2かける2だから、22の4で、4です。反比例だから、この4の逆数は、1/4。小数にすると0.25です。これで合ってますか?」
「計算は合ってるけど、その意味はどうなる?」
「うーん…」
「AとBの距離が1メートルの時は、引力は1。2メートル離れると0.25。だから、距離が2倍になると、引力は4分の1になるんだよ。もし距離が3メートルになって、3倍になると、引力の方は9分の1、つまり0.11に弱まる。分かる?」
「ええ。分かったような、分からないような…」
「じゃあ、図に書いてみよう。そうすれば分かるよ」

原文 (会話文抽出)

「先生、こんにちは」
「先生。今日は花束をさしあげようと思って持ってまいりました」
「ほう、ほう。なかなかきれいな花です。たくさんの花です。ありがとう、ありがとう」
「それでは、これを樽ロケットの中の花活にいけましょう。さあヒトミさんも東助君も、いっしょにおはいりなさい」
「先生。今日はどんなにふしぎな国へ連れていって下さるのですか」
「今日はですね、ふしぎな力の国へご案内いたします」
「ふしぎな力の国って、どんなところですの」
「みなさんは、ここにAとBと、二つの物があるとき、この二つの間に、引力という力がはたらいて、たがいにひっぱりっこをしていることを知っていますか」
「引力なら、知っています」
「よろしい。その引力の法則を知っていますか。ニュートンが発見したその法則です。どうですか、東助君」
「引力の法則は、だれでも知っていなくてはならない法則だから、ぼくもよくおぼえていますよ。――二ツノ物体ノ間ノ引力ハ、ソノ二ツノ物体ノ質量ノ積ニ比例シ、二ツノ物体ノ距離ノ自乗ニ反比例スル。――これでいいのでしょう」
「それでよろしいです。つまり、ここに物体Aと物体Bの二つだけがあったとします。物体の間には引力がはたらくのです。その引力の大きさは、今も東助君がいったとおり、AとBの質量――これは重さのことだと考えていいのですが、大きければ大きいほど、引力は大きい。また、AとBとがどのくらいはなれているか、その距離が近ければ近いほど、引力はずっと大きい。距離が遠くなると、引力はずっと小さくなる。この距離と力の関係のことを、今日はとりあげて、おもしろい光景をお見せしますが、これはなかなか人類にとって、ありがたい法則なのであります」
「先生。今日はお話がむずかしくて、よく分りませんわ。もう一度いって下さい」
「ほう、ほう。そんなにむずかしいことありません。引力の法則などというから、むずかしく聞えますが、そんなに頭をかたくしないで、私のいうことだけ、考えてみて下さい」
「はい。そうします」
「いいですか、ヒトミさん。引力はね、物体Aと物体Bの距離の自乗に反比例するのです。ははは、それ、むずかしい顔になりました。それ、いけません――。AとBの距離が一メートルの場合と二メートルの場合と、引力は、どんなにちがうか。それを今申した法則をあてはめて、考えてみましょう。ヒトミさん、あなた計算してごらんなさい。わけなく、できます」
「二つの物体の距離に――いや、距離の自乗に反比例するのですから、距離が一メートルの場合は一の自乗はやはり一です。この一に反比例するんだから、分数にして、一分の一。一分の一はやはり一です」
「それから距離二メートルの場合は、どうなりますか」
「二メートルの場合は、二の自乗というと、二に二をかけることだから、二二が四で、四です。反比例だから、この四の逆数は、四分の一。小数にして〇・二五です。これでいいでしょうか」
「計算はいいですが、その意味はどうなりますか」
「さあ……」
「ABの距錐が一メートルのときは、引力は一。二メートルはなれていると〇・二五。ですから、距離が二倍になると、引力は四分の一になるのです。もし距離が三メートルになって、三倍になると、引力の方は九分の一、つまり、〇・一一に弱まります。分りますか」
「ええ。分ったような、分らないような……」
「それでは、図にかいてみましょう。そうすると、よく分るでしょう」

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