海野十三 『ふしぎ国探検』 「太陽から、だんだん遠くなっていきますよ」…

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青空文庫図書カード: 海野十三 『ふしぎ国探検』

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「太陽から遠ざかってるよ」
「あれって何? 星だ、でかい」
「あれは木星。逆側見て。光る輪がある星が見える?」
「うん、土星ね」
「そう。気持ち悪い星だよね。もう少し行くと変わった星が見えるよ。お、出てきた。左に向かって。光の尾を引いた星見える?」
「うん、うん。あれは彗星じゃないの?」
「その通り。ハレー彗星。デカい彗星だよ。だんだん大きくなるでしょ」
「うわ、すげーな。昔、地球にぶつかりそうになったんでしょ?」
「1910年だったかな。38年前だよ。お、海王星が見えてきた。右に冥王星もあるよ。冥王星は太陽系の9つの大きい星の中で一番外側にある星」
「どうよ、東助、ヒトミ。太陽系見渡した感じは…?」
「すげー以外の言葉がないね」
「ゾッとするわ。広い空間ね」
「驚くのはまだ早いよ。今度は太陽系を出て、もっと外に行ってみよう」
「あの、ダイヤモンドが散らばったみたいにキラキラした長い帯が、上から下まで続いてるね。あれって知ってる?」
「天の川、銀河って言うんだ」
「そう。銀河。銀河ってどういうものか知ってる?」
「星の集まりでしょう」
「そうだけど、どれだけ星が集まってるか分かる?」
「うーん、めっちゃキラキラしてるな。1万…いや、10万ぐらい?」
「もっとだよ。百万はあるよ。先生」
「もっともっと。約2000億あるよ」
「2000億!? マジか」
「あの星の一つ一つが太陽みたいに光ってるんだよ。つまり2000億の太陽が輝いてる」
「へぇ。じゃあ銀河ってめっちゃデカいんだね」
「直径10万光年あるんだ。端から端まで光と同じ速さで飛んでも、10万年かかる」
「すげーな。銀河の大きさを考えると頭がバグる。しかもあの2000億の太陽にはそれぞれいくつかの星が回ってるんだろ? 地球なんてちっちゃいもんだな」
「先生。銀河じゃないところに光ってる星は?」
「銀河から離れてる星でも、実は銀河系に属してる星があるんだ。そのほかにも、銀河系じゃない星や星団もあるよ。それらが見えるように、銀河を離れてこの樽ロケット飛ばそう。すると銀河の形がよく分かる」
「東助、ヒトミ。地球の位置を覚えておいて。太陽を見失わないように。太陽系も銀河系の星だけど、銀河のどの辺にある星か分かるよ」
「ほら、分かったでしょ。銀河は星が円盤状に集まってるんだよ。で、君たちにとって懐かしい太陽系は、銀河の端っこにあるのが見える」
「わぁ、銀河って回ってるんだね」
「そう。お皿の形をした銀河はお皿を回すみたいにグルグル回ってるんだ。中心は星がいっぱい集まってちょっと膨らんで見える」
「うん、そうね」
「俺たちの太陽も銀河と一緒に回ってるんだな」
「そう。だから太陽も銀河系の星なんだ。太陽が回って元の場所に戻るには2億2000万年かかる」
「長い時間だな。人生50年と比べたら」
「この大宇宙ができてから何年経ったか知ってる?」
「知らない」
「限りなく長い時間なんだろうね」
「限りなくじゃないよ。約20億年経ってることが分かってるんだ」
「20億年? 大宇宙にも年齢があるんだ。初めて知ったけど面白いね」
「先生。大宇宙が20億歳の赤ちゃんだった頃と今って何が違うんですか?」
「それそれ。じゃあ、タイムマシンかけて20億年前の大昔に戻ってみよう。それから今の時代にタイムマシンを走らせてみよう。それを私たちの目でたった1分で分かるように調節しとくよ。いい? よく見てて」

原文 (会話文抽出)

「太陽から、だんだん遠くなっていきますよ」
「あれは何かしら。大きな星だ」
「あれは木星です。反対の側をごらんなさい。大きな光る輪をもった星が見えるでしょう」
「ああ、見えますわ。あれは土星ね」
「そうです。気味のわるい星ですね。もうすこし先へいくと、かわった星が見えますよ。ああ、見えてきました。左の前方をごらんなさい。ぼーっと、光の尾をひいた星が見えますでしょう」
「ああ、見えます、見えます。彗星ではないのですか」
「そのとおりです。ハレー彗星です。かなり大きな彗星です。だんだん大きく見えてきますでしょう」
「ああ、すごいなあ。いつだか、あのハレー彗星は地球に衝突しそうになったのでしょう」
「千九百十年でした、あれは。今から三十八年前のことです。おう、海王星が見えてきました。その右側に冥王星も見えます。冥王星は太陽系の九つの大きな遊星のうち、一番外側にある星です。どうですか、東助君、ヒトミさん。こうして太陽系を見わたした感じは……」
「すごいという外、いいようがありませんねえ」
「背中が寒くなりますわ。広い大きな空間ですわねえ」
「おどろくことは、まだ早いです。こんどは太陽系をはなれて、もっと外へでてみましょう」
「あの、ダイヤモンドをちりばめたようなきらきらした長い帯が、上から下へ、長くつづいていますね。あれは何か知っていますね」
「知っています。天の川です、銀河ともいいます」
「そうです。銀河です。銀河はどんなものか知っていますか」
「銀河は星の集っているところでしょう」
「それにちがいありませんが、どのくらい星が集っているか、分りますか」
「さあ。ずいぶんたくさんのきらきらした星が輝いていますね。ええと、一万――いや十万ぐらいかな」
「もっとたくさんよ。百万はあるでしょう。ねえ、ポーデル先生」
「もっともっとたくさんです。約二千億もあります」
「二千億ですって。まあ、おどろいた」
「あの一つ一つの星が、太陽と同じように光っているのです。つまり二千億の太陽があのとおり輝いているのです」
「ふーン。すると銀河というのは、ずいぶん大きいものですね」
「直径が十万光年あるのです。銀河の端からはしへいくのに、光とおなじ早さでとんでも、十万年かかるというわけです」
「すごいなあ。ぼくは銀河の大きさを考えると、頭がへんになります。そしてあの光っている二千億の太陽には、それぞれいくつかの遊星がまわっているんでしょう。考えてみると地球なんて小さなものですね」
「ポーデル先生。銀河でないところに光っている星は、どういう星ですの」
「銀河からはなれている星でも、じつは銀河系に属する星があります。そのほかに、銀河系でない星や星団もあります。それがよく見えるように、銀河をはなれて遠くへ、この樽ロケットをとばしましょう。すると銀河の形がよく見えます」
「東助君。ヒトミさん。地球の位置をよくおぼえていて下さい。太陽を見忘れないようにして下さい。太陽系も、じつは銀河系の一つの星ですが、銀河のどのへんにある星だか、やがて分るでしょう」
「ほら、分ったでしょう。銀河は星が円板のように集っているものです。それから、みなさんにとってなつかしい太陽系は、銀河のずっと端に近いところにあるのが見えるでしょう」
「あらあら。銀河はまわっていますのね」
「そうです。皿の形をした銀河は、皿をまわすように、ぐるぐるまわっているのです。中心のところは、星がたくさんあつまって、すこしふくれてみえるでしょう」
「ああ、そうね」
「ぼくらの太陽も、銀河といっしょに、まわっているようですね」
「そうです。だから太陽も、銀河系の星にちがいないのです。太陽がまわって元のところへ戻るには二億二千万年かかるのです」
「長い年月ですね。人生五十年にくらべて、なんという長い年月でしょう」
「この大宇宙ができてから、何年たったか、知っていますか」
「いいえ」
「無限に長い時間がたっているのでしょう」
「無限大ではないのです。約二十億年たっていることが分っています」
「二十億年ですか。大宇宙にも年齢があるというのは始めて知りましたが、おもしろいですね」
「ポーデル先生。大宇宙が二十億年の年齢をとっているものなら、大宇宙が生れたばかりの赤ちゃんのときと、今とは、どうちがっていますの」
「さあ、そのことですよ。では、時間器械をかけて、二十億年前の大昔へ戻してみましょう。それから今の時代へ、時間器械を走らせてみましょう。それを私たちの目では、たった一分間で見えるように器械をあわせておきますよ。いいですか。よく見ていて下さい」

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