海野十三 『ふしぎ国探検』 「さあ、これでいい。日本人と見えましょう。…

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青空文庫図書カード: 海野十三 『ふしぎ国探検』

現代語化

「さあ、これでいい。日本人に見えるでしょう。私は今日は、松永さんというおじいさんに化けました。松永さんは、心霊実験会の会員として知られています。松永さんが行くと、その心霊実験会の方では安心して会場に入れてくれます。会員じゃない人が行くと、なかなか入れてくれません。それで私は、松永おじいさんに化けたんです」
「ああ、なるほど」
「私たち子供はいいんですかしら?」
「あなたたち二人は、松永おじいさんの孫です。それなら大丈夫、入場許可されます」
「なかなかうるさい会なんですね」
「そうです。心霊が霊媒の体に乗り移って、不思議なことをします」
「心霊って何ですか。霊媒って何でしょうか?」
「心霊とは人間の魂のことです。たましい、ともいいます」
「ああ、たましいのことですか。先生、人間が死んでも、たましいは残るのでしょうか?」
「さあ、それが問題です。今夜の実験を見れば、それについて一つの答えを知ることができるでしょう」
「たましいなんて、人間が死ねば、一緒に消えちゃうもんだ。たましいがあるなんて、嘘だと思うよ」
「でも、私本当に、人魂が飛ぶところを見たことがあってよ。あれは4年前の夏だったかしら」
「あれは火の玉で、人間のたましいじゃないよ。ねえ、先生」
「さあ、どうでしょうかね」
「先生。霊媒というのは、どんなものですか?」
「おお、その霊媒です。霊媒は特別な人間です。そして心霊と人間との間にいて、連絡をします。つまり、実際には、心霊が霊媒の体に乗り移るんです。心霊だけでは、声を出すこともできません。話すこともできません。そこで心霊は、霊媒の体に乗り移り、霊媒のどと、口とを借りて言葉をつづるんです。ですから霊媒がいてくれないと、私たちは心霊と話をすることができないんです。どうです。分かりましたか?」
「すると、霊媒人間が、心霊に自分の体を与えるんですね」
「そうです」
「人間は、誰でも霊媒になれますの?」
「いいえ。さっきもいいましたが、特別な人間じゃないと霊媒になれません。霊媒になれる人は、ごくわずかです。霊媒にも、すぐれた霊媒と、落ちた霊媒とがあります。すぐれた霊媒は、心霊が楽に乗り移ることができます。乗り心地がいいんです」
「特別な人間というと、どんな人でしょう?」
「心霊実験会の偉い人は言います。霊媒になれる人は、心霊というもののあることを信じる人、自分の体から自分のたましいを追出して、たましいのない空家にすることができる人、それが完全にできる人ほど、上等の霊媒だそうです。さあ、それではそろそろ出かけましょう」

原文 (会話文抽出)

「さあ、これでいい。日本人と見えましょう。わたくしは今日は、松永さんという老人に化けました。松永さんは、心霊実験会の会員として知られています。松永老人がいくと、その心霊実験会の方では安心して会場へ入れてくれます。会員でない人がいくと、なかなか入れてくれません。それでわたくし、松永老人に化けました」
「ああ、なるほど」
「私たち子供はいいんですかしら」
「あなたがた二人は、松永老人の孫あります。それなら大丈夫、入場許されます」
「なかなかやかましい会なんですね」
「そうです。心霊が霊媒の身体にのりうつって、ふしぎなことをいたします」
「心霊とは何ですか。霊媒とは何でしょうか」
「心霊とは人間の霊魂のことです。たましい、ともいいます」
「ああ、たましいのことですか。先生、人間が死んでも、たましいは残るのでしょうか」
「さあ、それが問題です。今夜の実験をごらんになれば、それについて一つの答を知ることができましょう」
「たましいなんて、人間が死ねば、一しょになくなってしまうもんだ。たましいがあるなんて、うそだと思うよ」
「でも、あたし本当に、人魂がとぶところを見たことがあってよ。あれは四年前の夏だったかしら」
「あれは火の玉で、人間のたましいじゃないよ。ねえ、先生」
「さあ、どうでしょうか」
「先生。霊媒というのは、どんなものですの」
「おお、その霊媒です。霊媒は特別の人間であります。そして心霊と人間との間にいて、連絡をいたします。つまり、じっさいには、心霊が霊媒の身体にのりうつるのです。心霊だけでは、声を発することもできません。ものをいうこともできません。そこで心霊は、霊媒の身体にのりうつり、霊媒ののどと、口とをかりて言葉をつづるのです。ですから霊媒がいてくれないと、わたくしたちは心霊と話をすることができないのです。どうです。お分りになりましたか」
「すると、霊媒人間が、心霊に自分の身体を貸すんですね」
「そうです」
「人間は、誰でも霊媒になれますの」
「いいえ。さっきもいいましたが、特別の人間でないと霊媒になれません。霊媒になれる人は、ごくわずかです。霊媒にも、すぐれた霊媒と、おとった霊媒とがあります。すぐれた霊媒は、心霊がらくにのりうつることができます。のり心地がいいのです」
「特別の人間というと、どんな人でしょう」
「心霊実験会のえらい人は申します。霊媒になれる人は、心霊というもののあることを信じる人、自分の身体から自分のたましいをおいだして、たましいのない空家にすることができる人、それが完全にできる人ほど、上等の霊媒だそうです。さあ、それではそろそろでかけましょう」

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