海野十三 『ふしぎ国探検』 「アナウンスをいたします。これは『原子弾戦…

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青空文庫図書カード: 海野十三 『ふしぎ国探検』

現代語化

「アナウンスします。これは『原子爆弾戦争の果』の第二幕です。甘いカボチャ酒を飲みながら、ゴミ箱酒場で大学教授たちが議論に花を咲かせています」
「とにかく人間は横暴だ。彼らの数は、せいぜい15億人くらいだ。この地球の上では、人間は象とクジラに次いで、数の少ない生き物だ。それなのに、人間は『地球はおれたちのものだ』とばかりに横暴なことをしている。本当に許せない」
「全くその通りだ」
「そうだろう。数から言えば、人間なんて、俺たちハエ族に比べたら1億分の1の発言権もないはずだ。ところが人間のすることはどうだ。ハエ叩きという道具で俺たちを叩き殺す。石油乳剤をかけて息の根を止める」
「まだある。ハエ取り紙という、残酷な粘着地獄がある」
「DDTときたら、もっとひどい。あれをかけられたら、まず助かる奴はいない」
「あれは、まだ値段が高くて、あまり大量に作れないから、人間は思い切って俺たちに振りかけることができない。まあそれで俺たちは全滅せずに済んでんだけど、考えると危ないよな」
「人間はどこに俺たちハエ族を殺す権利があるんだ。許せない。天地創造の神は、人間だけを作ったわけじゃない。象を作り、ライオンを作り、馬を作り、犬、猫、魚、それからヘビ、カエル、チョウ、それからその俺たちハエ族、その他細菌とか木とか草とか、いろんなものを作ったんだ。俺たちは神の子だから、平等な権利を持って生まれたんだ」
「そうだ。その通りだ。人間を除いた全ての生き物は、人間に会議を開くことを申し込んで、その会議で平等の権利を、人間にもう一度認めさせよう。そして人間を、小さい狭い場所へ追い込んでしまわないといけない」
「大賛成だ。蚊族、チョウ族、ハチ族などを誘いあわせて、さっそく人間に会議を開くことを申し込もう」
「それがいい。そうしないと、俺たちは滅んでしまう」
「やあ、みんな、何をそんなに顔真っ赤にして怒ってるんだい?」
「おお、君か。遅かったな。さあ、ここに席がある」
「サンキュー…ちょっと聞いたけど、また人間の横暴を攻撃してたんだね」
「そうなんだ。だから地球生物会議を開いて、人間を追い出そうと思うんだけど、どうだい?」
「もうそんなことをする必要はないよ。人間はもうすぐ滅びる。人間は自分で自分を滅ぼそうとしてるんだ」
「マジ?そんなこと、どこで聞いたんだい?」
「これは俺の推論だ。いいかい、人間は最近原子爆弾というものを発明した。それは今までにないすごい爆発力を持ったもので、たった一発で、何十万何百万という人間を殺す力がある。そういうすごい原子爆弾を、人間は競争でたくさん作ってる」
「ふーん、それはすごい。俺たちもちろん殺されてしまうよな」
「それはそうだけど、まあ待て。人間は滅びるが、俺たちは滅びないんだ。理由はこうだ。やがて人間同士で次の戦争を始めるとなると、今度はもっぱらこの原子爆弾を使う戦争となるわけだ。これはすごいものだぞ。戦う国と国とが、お互いの国に原子爆弾の雨を降らせる」

原文 (会話文抽出)

「アナウンスをいたします。これは『原子弾戦争の果』の第二幕です。あまいかぼちゃ酒がたらふくのめる、ごみ箱酒場で、大学教授たちが雑談に花を咲かしています」
「とにかく人類は横暴である。かれらの数は、せいぜい十五億人ぐらいだ。この地球の上では、人類は象と鯨につづいて、数のすくない生物だ。それでいて、かれら人類は、地球はおれたちのものだ、とばかりに横暴なことをやりおる。まことにけしからん」
「まったくそのとおりだ」
「そうでしょう。数からいうと、人類なんか、われわれ蠅族にくらべて一億分の一の発言権もないはずだ。ところが人類のすることはどうだ。蠅叩きという道具でわれわれを叩き殺す。石油乳剤をぶっかけて息の根をとめる」
「まだある。蠅取紙という、ざんこくなとりもち地獄がある」
「ディ・ディ・ティーときたら、もっとすごい。あれをまかれたら、まず助かる者はない」
「あれは、まだ値段が高くて、あまりたくさん製造できないから、人類は思い切ってわれわれにふりかけることができない。まあそれでわれわれは皆殺しにあわなくて助かっているんだが、考えるとあぶないねえ」
「人類は、どこにわれわれ蠅族を殺す権利を持っているんだ。けしからん。天地創造の神は、人類だけを作りたもうたのではない。象を作り、ライオンを作り、馬を作り、犬、猫、魚、それから蛇、蛙、蝶、それからそのわれわれ蠅族、その他細菌とか木とか草とか、いろいろなものを作りたもうた。われわれは神の子であるが故に、平等の権利を持って生れたのだ」
「そうだ。そのとおりだ。人類をのけたすべての生物は、人類に会議をひらくことを申込み、その会議の席でもって平等の権利を、人類にもう一度みとめさせるんだ。そして人類を、小さいせまい場所へ追いこんでしまわなくてはならぬ」
「大さんせいだ。蚊族、蝶族、蜂族などをさそいあわして、さっそく人類へ会議をひらくことをしょうちさせよう」
「それがいい。そうでないと、われわれはほろびる」
「やあ、諸君は、何をそんなに赤くなって怒っているのか」
「おお、君か。おそかったね。さあ、ここに席がある」
「ありがとう。……ちょっと聞いたが、また人類の横暴を攻撃していたようだね」
「そうなんだ。だからひとつ地球生物会議をひらかせ、人類をひっこませようと思うが、どうだ」
「もうそんなことをするには及ばないよ。人類はもうしばらくしたら亡んでしまう。人類は自分で自分を亡ぼしかかっている」
「ほんとかい。そんなことを、どこで聞いてきたのか」
「これは私の推論だ。いいかね、人類は最近原子弾というものを発明した。それは今までにないすごい爆発力を持ったもので、たった一発で、何十万何百万という人間を殺す力がある。そういうすごい原子弾を、人類は競争でたくさんこしらえている」
「ふーん、それはすごい。われわれはもちろん殺されてしまうね」
「それはそうだが、まあ待て。人類は亡びるが、われわれは亡びないんだ。というわけはやがて人類同士でこの次の戦争を始めるとなると、こんどはもっぱらこの原子弾を使う戦争となるわけだ。これはすごいものだぞ。戦う国と国とが、たがいに相手の国へ原子弾の雨を降らせる」

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