海野十三 『ふしぎ国探検』 「博士。こんどはどんなふしぎな国へつれてい…

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青空文庫図書カード: 海野十三 『ふしぎ国探検』

現代語化

「博士。今度はどんな不思議な国に連れてってくれるんですか?」
「今度は、なかなかシリアスなところへ案内するよ」
「シリアスなところって、どんなとこですか?」
「ハエの社会へ案内するよ」
「あら、ハエの社会がシリアスなんですか?」
「ハエが考えてることって、人間にとってはわりとシリアスなんだ。これから案内するところは、ハエが作って、そしてハエが演じるテレビのドラマだよ。それを見せるよ」
「わぁ、すごい。ハエでも芝居をするんですね。しかもテレビドラマなんて、斬新ですね」
「人間は、自分のことになると割とよく知ってるけど、それ以外のこと、例えば馬とか、犬とか、ウサギとか、毛虫とか、ハエとかってことは、あまり知らないんだ。それはダメだ。ハエが何を考えてるか、そういうことをよく知ってる方が、ずっと良い」
「そのハエのテレビドラマを見るには、どこに行けばいいんですか?」
「ヒマラヤ山に登るよ。そして山頂から、ハエの世界が出してる電波を受け取ろう。お、着いたよ。ヒマラヤの山頂だ。ゆっくり着陸するね」
「外に出るんですか?」
「いや、外は寒いぞ。今は氷点下30度くらいだ。ハエのテレビドラマは、この樽の中で見られるよ。この機械が電波を受け取って、この四角い画面にドラマを映すんだ。それからハエの言葉を日本語に直して出すよ」
「ハエの言葉が、日本語になるんですか。そんなことできるんですか?」
「できるよ。何かの時に何かを言う時って、まず自分で心のの中で考えるよね。考えるってことは、脳の働きだ。脳が働くと、ある種の電波が出るんだ。その電波を増幅して放送する。それを受け取って、翻訳機を使って日本語にも英語にも、好きな言語に直すんだ。分かったか?」
「分かったような、分からないような」
「それより早く、そのハエのドラマを見せてください。いや見せて聞かせてください。その方が早く理解できます」
「いいよ。すぐに流すよ。そこの前に椅子を置いて座って」

原文 (会話文抽出)

「博士。こんどはどんなふしぎな国へつれていって下さるんですか」
「こんどは、なかなか深刻なところへ案内いたします」
「深刻なところって、どんなところですの」
「蠅の社会へ案内いたします」
「あら、蠅の社会が深刻なんですか」
「蠅の考えていること、人類にとってはなかなか深刻あります。これから私案内するところは、蠅が作り、そして蠅が演ずるテレビジョン劇であります。それをごらんにいれます」
「まあ、すてき。蠅でも劇をするんですの。しかもテレビジョン劇なんて、あたらしいものを」
「人類は、人類のこととなるとわりあいによく知っていますが、その他のこと、たとえば馬のこと、犬のこと、兎のこと、毛虫のこと、蠅のことなどについては、あまりに知りません。それ、よくありません。蠅が何を考えているか、それらのこと、よく知っておく、はなはだよろしいです」
「その蠅のテレビ劇を見るには、どこへいけばいいんですか」
「ヒマラヤ山の上へのぼります。そして山の上から下界に住む蠅の世界がだすその電波を受信しましょう。ああ、きました。ヒマラヤのいただきです。しずかに着陸します」
「外へでるのですか」
「いや、外はなかなか寒い。今でも氷点下三十度ぐらいあります。蠅のテレビ劇は、この樽の中で見られます。この器械がそれを受けてこの四角い幕に劇をうつします。また蠅のいうことばを日本語になおしてだします」
「蠅のことばが、日本語になるんですの。そんなことができるんですか」
「できます。ものをいうとき、何をいうか、まず自分が心の中で考えます。考えるということ、脳のはたらきです。脳がはたらくと、一種の電波をだします。その電波を増幅して放送します。それを受信して、復語器を使って日本語にも英語にも、好きなことばになおします。わかりましたか」
「わかったようでもあり、わからないようでもあり」
「それより早く、その蠅の劇を見せて下さい。いや見せて聞かせて下さい。その方が早わかりがします」
「よろしい。すぐ見せます。あなたがた、椅子をこの前において腰かける、よろしいです」

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