海野十三 『ふしぎ国探検』 「だめだわ、東助さん。こんなにさがしてもめ…

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青空文庫図書カード: 海野十三 『ふしぎ国探検』

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「無理だよ~、東助。いくら探しても見つかんないんだから、もう帰ろうよ」
「いや、ダメダメ。もっと頑張れよ、見つけ出すまで。こんな草ボーボーなとこなんだから、絶対どこかにあんじゃん」
「そうかな。だって東助もまだトンボ取れてないんだろ」
「トンボが少ないんだよ。それに、みんな空飛んでて降りてこんの」
「焼け野原で探すのに無理があるんじゃない?」
「しょうがないじゃん。この近くで焼け野原じゃないとこなんてないんだから」
「そっか」
「で、ヒトミの理科のレポートってなに?」
「理科のレポート? 『ユークリッドの幾何学について』だよ」
「ユークリッドの幾何学かよ。難しそうだな」
「そんなこともないよ。東助のレポートはなんなの?」
「俺のは『空飛ぶ円盤と人魂の関係について』なんだ」
「空飛ぶ円盤と人魂? へぇ、面白そう」
「そうだけど、俺まだどっちも見たことないから。だから書けないよ~」
「私、人魂の方は一度だけ見たことあるよ」
「えーっ、マジ? ヒトミ人魂見たことあんの。どんな形だった?色とかさ…」
「あれは5年前の8月の夜だった。お母さんと風呂行ったの。帰る時、竹やぶの横通ってたらさ――あれ、なんだろ、東助。あそこに変なもの飛んでるよ。あ、こっち来る」
「え、なに? どこ?」
「あそこよ、あそこよ。ほら、空なんか丸いのあるじゃん。ケツからちょっと煙出ててさ――」
「あ、あれか。おう、飛んでる、飛んでる。飛行機じゃないな。変なものだ。変なもの空飛んでる」

原文 (会話文抽出)

「だめだわ、東助さん。こんなにさがしてもめっからないんだから、もうあきらめて帰ろうかしら」
「いや、だめ、だめ。もっとがんばって、さがしだすんだよ。これだけ草がはえているんだから、きっとどこかにあるよ」
「そうかしら。だって東助さんも、まだとんぼがつかまらないんでしょう」
「とんぼのかずが少いんだよ。それに、みんな空の上をとんでいて下へおりてこないんだ」
「やけ野原でさがすことが無理なんじゃないかしら」
「だってしようがないよ。この近所で、やけ野原じゃないところはないんだから」
「それはそうね」
「ヒトミちゃんの理科の宿題論文は、なんというの」
「理科の宿題論文? それはね、『ユークリッドの幾何学について』というのよ」
「ユークリッドの幾何学についてだって。むずかしいんだね」
「それほどでもないのよ。東助さんの方の宿題論文はなんというの」
「僕のはね、『空飛ぶ円盤と人魂の関係について』というんだ」
「空飛ぶ円盤と人魂の関係? まあ、おもしろいのね」
「おもしろいけれど、僕はまだどっちも見たことがないんだもの。だから書けやしないや」
「あたしね、人魂の方なら一度だけ見たことがあるの」
「へえーッ、本当? ヒトミちゃんは本当に人魂を見たことがあるの。その人魂は、どんな形をしていたの、そして人魂の色は……」
「あれは五年前の八月の晩だったわ。お母さまとお風呂へいったのよ。その帰り路、竹藪のそばを通っているとね――あら、あれなんでしょう、ねえ東助さん。あそこに、へんなものが飛んでいるわ。あ、こっちへくる」
「え、なに? どこさ」
「あそこよ、あそこよ。ほら、空をなんだか丸いものがとんでいるわ。お尻からうすく煙の尾をひいて――」
「あッ、あれか。あ、飛んでいる、飛んでいる。飛行機じゃあない。へんなものだ。へんなものが空を飛んでいく」

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