太宰治 『火の鳥』 「あなたは、どうお思ひなの? 人間は、みん…

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青空文庫図書カード: 太宰治 『火の鳥』

現代語化

「あなたは、どう思いますか?人間って、みんな同じものなんでしょうか。」
「私、一人一人みんな違うと思うんですけど。」
「心理学?体質ですか?」
「違います。あたし、気取ってたのよ。」
「寄ってかない?」
「あなたも驚いたでしょう?僕も、ぶっ飛んじゃったよ。さっちゃんはね、いつも、こんなこと平気でしちゃうから困るんだ。会社に情報が入って、すぐに病院に行ったら、この先生、ただ、ワーワー泣いてるんですよ?わけがわからない。そしたら警察から記事差し止めです。知ってます?須々木乙彦って、ただの泥棒じゃないんです。黒色テロ。銀行襲っちゃいました。」
「本当ですか?」
「あと5、6日もすれば、記事も公開されると思います。」
「あなたはいつから来てたの?」
「僕かい?」
「ちょっと前です。今朝早く警察に電話したら、あなたたちが退院することを教えてくれたので、とにかく来てみたんです。おばさんが心配してたよ。留守中に何度も何度も刑事が来て、この部屋をめちゃくちゃにしてったそうです。おばさんには、僕がうまく説明しておきました。まあ、座って。」
「よかったね。無事だったなんて――」
「よくなかったわ。タバコないの?あら、あなたを見ると、急にタバコが吸いたくなるわね。」
「これは、挨拶だな。」
「失礼します。」
「そう?」
「お元気でいてください。僕は責任を持って、あなたを保護します。須々木さんのためにも、しっかりしてください。僕は乙やんを信じています。何があっても、僕は乙やんを支えます。じゃあまた、そのうち来ます。」
「今日はどうもありがとう。」
「助七。私はあなたと一緒にいます。何があっても離れません。」
「やめろよ。」
「私はそんなにバカじゃないよ。」
「君、君。」
「話したいことがあるんだけどさ。」
「私はあなたを憎んでいません。好きです。」
「まあ、そんなこと言わないでよ。」

原文 (会話文抽出)

「あなたは、どうお思ひなの? 人間は、みんな、同じものかしらん。」
「あたしは、ひとり、ひとり、みんな違ふと思ふのだけれど。」
「心理ですか? 体質ですか?」
「いいえ。あたし、きざねえ。ちよつと、気取つてみたのよ。」
「寄つて行かない?」
「あなたも、おどろいたでせう? おれだつて、まさに、腰を抜かしちやつた。さちよ君はね、いつでも、こんなこと、平気でやらかすものだから、弱るです。社へ情報がはひつて、すぐ病院へ飛んでいつたら、この先生、ただ、わあわあ泣いてゐるんでせう? わけがわからない。そのうちに警視庁から、記事の差止だ。ご存じですか? 須々木乙彦つて、あれは、ただの鼠ぢやないんですね。黒色テロ。銀行を襲撃しちやつた。」
「たしかですか?」
「もう、五六日したら、記事も解禁になるだらうと思ひますが。」
「あなたは、いつから来てゐたの?」
「おれかい?」
「ほんの、少しまへです。けさ早く警視庁へ電話したら、あなたたちの出ることを知らせて呉れたので、とにかく、ここへ来てみたわけです。したのをばさん心配してゐたぜ。留守に何度も何度も刑事が来て、この部屋を掻きまはしていつたさうだ。をばさんには、おれから、うまく言つて置きました。まあ、お坐りなさい。」
「よかつたね。よく、君は、無事で、――」
「よくもないわ。煙草ないの? おやおや、あたし、あなたの顔を見ると、急に、煙草ほしくなるのね。」
「これは、ごあいさつだな。」
「僕は、しつれいしませう。」
「さう?」
「御自重なさいね。僕は、責任をもつて、あなたを引き受けたのです。須々木さんのためにも、しつかりしてゐて下さい。僕は、乙やんを信じてゐるのだ。どんなことがあつたつて、僕は乙やんを支持する。ぢやあまた、そのうち、来ます。」
「どうも、けふは、ありがたう。」
「助七。あたしは、おまへと一緒にゐる。どんなことがあつても離れない。」
「よせやい。」
「おれは、それはどばかぢやない。」
「君、君。」
「話したいことがあるのだがねえ。」
「僕は、あなたを憎んでゐません。好きです。」
「まあ、さう言ふな。」

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