太宰治 『火の鳥』 「どう話していいのか、」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 太宰治 『火の鳥』

現代語化

「どう話したらいいのかなあ。」
「とにかく、驚いたよ。」
「すみません。」
「いや、それじゃなくて。いや、それも大変だったけど、それより、乙やんが、いや、須々木さんのこと、あなたも何も知らないでしょう?」
「知っています。」
「あれ?」
「お亡くなりになって――」
「それじゃないんです。」
「それも僕には、いや、あなたにとっても、恐ろしいショックだと思いますけど――」
「それよりも、ほかに――須々木さんは、すごいことをしたらしいんです。あなたとのことも、まだ新聞には出ていません。記事差し止めというやつらしいのです。あなたのこと、僕のことも、警察では詳しく調べてました。僕はひどい目に遭いました。厳しく調べられました。あなただって、あの2日前にはじめて会っただけなんでしょうし、僕だって、須々木さんとは親戚で、小さい頃から一緒に遊んで、僕は乙やんが好きだったし――」
「ようやく僕たちが何も知らなかったことがわかって、ひとまず釈放というところです。ひとまず、ですよ。これから、何かあるたびに呼び出されるらしいので、あなたも覚悟していてください。あなたは体がまだ全快じゃないし、僕が責任を持ってあなたの身柄を引き受けました。」
「すみません。」
「いいえ。僕のことはどうでもいいんだけど――」
「あなたはこれからどうします?僕の家に来ます?それとも――」
「入舟町に帰ります。」
「あ、そうですか。」
「送りましょうか。」
「お一人で大丈夫ですか?」

原文 (会話文抽出)

「どう話していいのか、」
「とにかく、おどろいたなあ。」
「すみません。」
「いや、そのことぢやないんだ。いや、そのことも、たいへんだつたが、それよりも、乙やんが、いや、須々木さんのこと、あなただつて何も知らんのでせう?」
「知つてゐます。」
「おや?」
「おなくなりに、」
「そのことぢやないんです。」
「それも僕には、いや、あなたにだつて、おそろしい打撃なんだが、」
「そのことよりも、ほかに、――須々木さんは、ね、たいへんなことをやつたらしいんだ。あなたとのことも、まだ、新聞には、出てゐませんよ。記事差止といふやつらしいのです。あなたのことも、僕のことも、警察ぢや、ずいぶんくはしく調べてゐました。僕は、ひどいめにあつちやつた。それは、きびしく調べられました。あなただつて、あの二日まへにはじめて逢つただけなんださうだし、僕だつて、須々木さんとは親戚で、小さい時から一緒に遊んで、僕は、乙やんを好きだつたし、」
「やつと、僕たち、なんにも知らなかつたのだといふことが判つて、ひとまづ釈放といふところなのです。ひとまづ、ですよ。これから、何か事あるごとに呼び出されるらしいのだから、あなたも、その覚悟をしてゐて下さいね。あなたは、からだも、まだ全快ぢやないのだし、僕が、責任を以て、あなたの身柄を引き受けました。」
「すみません。」
「いいえ。僕のことは、どうでもいいんだけど、」
「あなたは、これからどうします? 僕の下宿に行きますか? それとも、――」
「入舟町へかへります。」
「は、さうですか。」
「お送りしませう。」
「おひとりで居られるのですか。」


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