丘丘十郎(海野十三) 『雪魔』 「元気を出して、そして、おちついて物事を考…

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青空文庫図書カード: 丘丘十郎(海野十三) 『雪魔』

現代語化

「元気出せよ、そして落ち着いて物事を考えなきゃダメだよ」
「この前、俺たち2人がここへ登った日の3日前に、五助くんはお雪ちゃんと一緒にここへ来て、一造兄さんの元気な姿を見たんだったよね」
「そうだよ」
「そこまでは無事だったけど、俺たちが山を登って来ると銃声が聞こえ、それからここへ駆けつけると、穴の中に一造兄さんの姿が見えなかった。五助くんは穴の中を奥まで行って、電池がひっくり返ってるのを見た。その時雪崩が来たから俺が穴の外から大声で呼んだ。お前は穴からはい出してくる、そして向こうの山に避難した。雪崩のあとで俺がお前を見ると血がついてた。そうだったな」
「そうだよ」
「お前についてたその血は、穴の奥にこぼれてた血だ。五助くんが奥を探ってる時、その血溜まりに手を触れたんだ」
「あっ、そうか」
「するとあの血は兄さんの体から流れ出た血だったんだ。やっぱり兄さんは殺されちまったんだ。あのピストルの音…」
「ちょっと待て、五助くん」
「俺はお前の家の人の血液型を調べたんだが、みんなA型だな」
「うん、みんなA型だよ。お父さんもお母さんもA型だからね」
「そう、だから一造兄さんももちろんA型なのさ。ところがさっきお前についてた血を、東京で調べてもらったんだが、一体何型だったと思う」
「A型じゃなかったってことかい」
「そうなんだ。A型じゃない。だからあの血は一造さんから出た血じゃない」
「ああ、良かった。兄さんの血じゃなかったのか」
「じゃあ、あの血は誰の血だったんだろう。もしや…もしや…」

原文 (会話文抽出)

「元気を出して、そして、おちついて物事を考えなければいけないんだよ」
「この前、僕たち二人がここへのぼった日の三日前に、五助ちゃんはお雪ちゃんといっしょにここへ来て、一造兄さんの元気なすがたを見たんだったね」
「そうとも」
「そこまでは無事だったが、僕たちが山をのぼって来ると銃声がきこえ、それからここへかけつけると、穴の中に一造兄さんのすがたが見えなかった。五助ちゃんは穴の中を奥まで行って、電池がひっくりかえっているのを見た。そのとき雪崩が来たから僕が穴の外から大声で呼んだ。君は穴からはい出してくる、そして向こうの山へひなんした。雪崩のあとで君の手を見ると血がついていた。そうだったね」
「そうだとも」
「君の手についていたその血は、穴の奥にこぼれてた血だ。五助ちゃんが穴の奥でさぐっているとき、その血だまりに手をふれたんだ」
「あっ、そうか」
「するとあの血は兄さんの身体から流れだした血だったんだね。やっぱり兄さんは殺されてしまったんだ。あのピストルの音が……」
「お待ちよ、五助ちゃん」
「僕は君の家の人の血液型をしらべたんだが、皆、A型だね」
「うん、皆、A型だ。お父さんもお母さんもA型だからねえ」
「そう、だから一造兄さんももちろんA型なのさ。ところが君の手についていた血を、あのとき僕が持って帰っても東京でしらべてもらったんだがね、一体その血液型が何とあらわれたと思う」
「A型じゃなかったとでもいうのかい」
「そうなんだ。A型ではない。だからあの血は一造さんから出た血ではない」
「ああ、うれしい。兄さんの血ではなかったのか」
「じゃあ、あの血は誰の血だったんだろう。もしや……もしや……」

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