太宰治 『道化の華』 「だいぢやうぶだよ。だいぢやうぶだよ。」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 太宰治 『道化の華』

現代語化

「大丈夫だよ。大丈夫だよ」
「自殺幇助罪か」
「そんな法律あったっけ?」
「あるよ。懲役くらうよ。法学部生なのに」
「大丈夫だよ。兄貴がうまくやってるよ。兄貴はあれで、いざというときに頼りになるんだ。すごく熱心だし」
「やり手だな」
「心配しなくていいかもな。なかなかの策士だから」
「バカ」
「いい話聞いたよ」
「その人の奥さんがさ」
「今日警察へ来たんだ。兄貴と二人で話したんだけど、後で兄貴からそのときの話聞いたとき、ちょっとやられたよ。金は一文もいらない、ただその男に会いたいって言ったらしいんだ。兄貴はそれを断った。まだ興奮してるからって言ったんだって。そしたらその人は、情けない顔して、それじゃ弟さんによろしく言ってくれ、私たちのことは気にせず、体を大事にして、――」

原文 (会話文抽出)

「だいぢやうぶだよ。だいぢやうぶだよ。」
「自殺幇助罪か。」
「そんな法律もあつたかなあ。」
「あるさ。懲役ものだ。君は法科の學生のくせに。」
「だいぢやうぶだよ。兄さんが、うまくやつてゐるよ。兄さんは、あれで、有難いところがあるな。とても熱心だよ。」
「やりてだ。」
「心配しなくてよいかも知れんな。なかなかの策士だから。」
「馬鹿。」
「よい話を聞いたよ。」
「女のひとのつれあひがねえ、」
「そのひとが、けふ警察へ來たんだ。兄さんとふたりで話をしたんだけれどねえ、あとで兄さんからそのときの話を聞いて、ちよつと打たれたよ。金は一文も要らない、ただその男のひとに逢ひたい、と言ふんださうだ。兄さんは、それを斷つた。病人はまだ昂奮してゐるから、と言つて斷つた。するとそのひとは、情ない顏をして、それでは弟さんによろしく言つて呉れ、私たちのことは氣にかけず、からだを大事にして、――」


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