太宰治 『誰』 「へんな事を言うようですけど、僕が五、六年…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 太宰治 『誰』

現代語化

「変な事言うてるらしいけど、アタシ5、6年くらい前にあんたにお金貸してくれって手紙送ったことあるやろ? その手紙、まだ持ってはる?」
「持ってるで。」
「そろそろそん手紙が気になってきたんやろな。アタシはあんたお金持ちになったら、その手紙持って恐喝しようと思っとったんや。ひどい手紙やで。嘘ばっか書いてた。」
「知ってるで。そん嘘がどんぐらい上手い嘘か、調べてみたくなったんや。ちょっと見せてくれたらええねん。ちょっとでいいねん。大丈夫。鬼の腕みたいにこっそり持っていったりせえへん。ちょっと見たらすぐ返すから。」
「恐喝は冗談やけど。これからは気ぃつけたってや。」
「わかってるで。」

原文 (会話文抽出)

「へんな事を言うようですけど、僕が五、六年前に、あなたへ借金申込みの手紙を差し上げた事があった筈ですが、あの手紙いまでもお持ちでしょうか。」
「持っている。」
「そろそろ、あんな手紙が気になって来たらしいね。僕は、君がお金持になったら、あの手紙を君のところへ持って行って恐喝しようと思っていた。ひどい手紙だぜ。ウソばっかり書いていた。」
「知っていますよ。そのウソが、どの程度に巧妙なウソか、それを調べてみたくなったのです。ちょっと見せて下さい。ちょっとでいいんです。大丈夫。鬼の腕みたいに持ち逃げしません。ちょっと見たら、すぐ返しますから。」
「恐喝は冗談だが。これからは気を附け給え。」
「わかっています。」


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