太宰治 『誰』 「ひでえ事を言いやがる。」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 太宰治 『誰』

現代語化

「ホンマひどいこと言うやん。」
「最低なやつや。」
「何やねんそれ。」
「今日は帰り早いな。」
「早いよ。もうあいつらと一緒にいるの無理やわ。ひどいこと言うねん。村瀬のやつとか、あたしのことサタンとか言うねんて。ふざけんなや、あいつ2年も留年しとるくせに。あたしのことなんか言える立場ちゃうやん。失礼やわ。」
「あんたが甘やかすからやろ。」
「あんたはいつもみんなを甘やかして、ダメにするから。」
「そうなんかな。」
「アホな事言うな。甘やかしてるように見えるかもしれんけど、あたしにはあたしの考えがあってやってんねん。そんなんあんたに言われる筋合いちゃうわ。あんたも結局あたしのことサタンとか思ってんちゃうの?」
「さぁ、」
「あんたはね、」
「はよ言えや。なんでもいいから言えや。思ったとおりに。」
「怠け者やわ。それは間違いないで。」
「そうか。」
「サタンちゃうわけやな。」
「でも怠けすぎるのも悪魔みたいに見えるで。」

原文 (会話文抽出)

「ひでえ事を言いやがる。」
「ひでえ野郎だ。」
「なんですか。」
「今夜は、お帰りが早いようですね。」
「早いさ。もう、あんな奴らとは附き合う事が出来ねえ。ひでえ事を言いやがる。伊村の奴がね、僕の事をサタンだなんて言いやがるんだ。なんだい、あいつは、もう二年もつづけて落第しているくせに。僕の事なんか言えた義理じゃないんだ。失敬だよ。」
「あなたが甘やかしてばかりいるからよ。」
「あなたはいつでも皆さんを甘やかして、いけなくしてしまうのです。」
「そうか。」
「つまらん事を言ってはいけない。甘やかしているように見えるだろうが、僕には、ちゃんとした考えがあって、やっている事なんだ。そんな意見をお前から聞こうとは思わなかった。お前も、やっぱり僕をサタンだなんて思っているんじゃないのかね。」
「さあ、」
「あなたはね、」
「ああ言ってくれ。なんでも言ってくれ。考えたとおりを言ってくれ。」
「不精者よ。それだけは、たしかよ。」
「そうか。」
「サタンでは無いわけだね。」
「でも、不精も程度が過ぎると悪魔みたいに見えて来ますよ。」


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