新美南吉 『最後の胡弓弾き』 「まことに勝手なこといってすまんが、あの胡…

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青空文庫図書カード: 新美南吉 『最後の胡弓弾き』

現代語化

「勝手なことを言って申し訳ないんだけど、あの胡弓は30年も使ってきたもので、俺の嫁さんより長く俺と一緒にいるんだ」
「あなたの嫁さんがどうしたって、そんなことは知らないよ。うちは商売してるんだ。遊んでないよ」
「買い取ったものを、簡単に返すわけにはいかないよ」
「じゃ、売ってくださいよ。いくらでも出しますから」
「売るということなら売らんでもないよ。こっちの商売は買って売ることだからね」
「ああ、じゃ、そうしてください。いやどうも、俺が悪かったです。じゃ、いくら出したらいいですか?」
「そうだな、他の客なら80銭で売るところだけど、あなたはもとを知ってるから、60銭にしておこう」
「そ、そんな、ばかなこと。あんまり人の足元を見なさるな。30銭で買い取って、30分も経たないうちに倍の値段で――」
「いやだ、やめてくれよ」

原文 (会話文抽出)

「まことに勝手なこといってすまんが、あの胡弓は三十年も使って来たもんで、俺のかかあより古くから俺につれそっているんで」
「あんたのかかあがどうしただか、そんなこたあ知らんが、家あ商売してるだね。遊んでいるじゃねえよ」
「買いとったものを、おいそれと返すわけにゃいかんよ」
「それじゃ、売ってくれや、いくらでも出すに」
「売ってくれというなら売らんことはないよ、こっちは買って売るのが商売だあね」
「ああ、そいじゃ、そうしてくれ。いやどうも俺の方が悪かった。それじゃもういくら上げたらいいかな」
「そうさな、他の客なら八十銭に売るところだが、お前さんはもとを知っとるから、六十銭にしとこう」
「そ、そげな、馬鹿なことが。あんまり人の足元を見やがるな。三十銭で取っといて、三十分とたたねえうちに倍の値で――」
「やだきゃ、やめとけよ」

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