森鴎外 『大塩平八郎』 「只今書面を拝見して、これへ出向いて参りま…

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青空文庫図書カード: 森鴎外 『大塩平八郎』

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「さっき書面を見て急いで参りましたが、元々俺たちも城を守る係ですよね。それを城の外で使おうっていう、遠藤殿の考えが分かりません。あなたはなんて思います?」
「もちろん自分の役割は心得てます。でも頭である遠藤殿の命令なら、生駒山を越えてでも出なきゃいけませんよ。見ての通り、俺は準備できてます。」
「いや、もし頭殿自ら出陣されるなら、私もどこへでも行きますよ。私たちだけこんなところに出張して働くのは、町奉行の命令に従うみたいで、体面に関わります。昔、大雨が降った時に、城代である松平伊豆守殿に町奉行が出兵を頼んだら、大事な城の警備の者を貸すことはできないって断られたそうですよ。一度、みんなで断ってみませんか?」
「それは賛成できません。頭の命令なら、私は誰の下でも働きます。それに、反乱が起きた場合は大雨の時とは違います。あなたが断るなら、どうぞ1人で上屋敷に行ってください。」
「いや、そういうつもりですか。どんなことでも両組で相談して決めるのが慣例だから意見を言ったんです。そうですか。以後相談はしませんよ。」
「仕方ないですね。お好きにどうぞ。」
「では、失礼します。」

原文 (会話文抽出)

「只今書面を拝見して、これへ出向いて参りましたが、原来お互に御城警固の役柄ではありませんか。それをお城の外で使はうと云ふ、遠藤殿の思召が分かり兼ねます。貴殿はどう考へられますか。」
「成程自分の役柄は拙者も心得てをります。併し頭遠藤殿の申付であつて見れば、縦ひ生駒山を越してでも出張せんではなりますまい。御覧の通拙者は打支度をいたしてをります。」
「いや。それは頭御自身が御出馬になることなら、拙者もどちらへでも出張しませう。我々ばかりがこんな所へ参つて働いては、町奉行の下知を受るやうなわけで、体面にも係るではありませんか。先年出水の時、城代松平伊豆守殿へ町奉行が出兵を願つたが、大切の御城警固の者を貸すことは相成らぬと仰やつたやうに聞いてをります。一応御一しよにことわつて見ようぢやありませんか。」
「それは御同意がなり兼ねます。頭の申付なら、拙者は誰の下にでも附いて働きます。その上叛逆人が起つた場合は出水などとは違ひます。貴殿がおことわりになるなら、どうぞお一人で上屋敷へお出になつて下さい。」
「いや。さう云ふ御所存ですか。何事によらず両組相談の上で取り計らふ慣例でありますから申し出しました。さやうなら以後御相談は申しますまい。」
「已むを得ません。いかやうとも御勝手になさりませい。」
「然らばお暇しませう。」

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