太宰治 『惜別』 「僕はノオトを、いつも藤野先生に直していた…
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GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
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青空文庫図書カード: 太宰治 『惜別』
現代語化
「ノオトもいつも藤野先生に直してもらってるから、こんな勘違い起きてもしょうがねーよな。俺も藤野先生のことは勘違いしてたよ。前はあんま好きじゃなかったけど、話してみたら意外と真面目な人だってわかったんだ。俺がちょっと嫌味っぽく、「先生ってクリスチャンですか?」って言ったら、藤野先生は、「そうです。クリスチャンだけど、罪を犯さないってことじゃないですよ。むしろ、俺みたいにくっさい欠点ばっかで、罪ばっか犯しちゃう悪人こそ、クリスチャンの選手になれるんですよ。教会は、俺みたいなミスばっかしちゃう奴を助けてくれる病院です。Krankenhaus ですね。そして、福音は俺らみたいな心の病人の Krankenbett です」って言うんだ。矢島さんがそう言ったとき、なぜか胸にグッと来て、俺も思わずその Krankenhaus のドア叩いてみたくなったんだ。俺は今は確かに Kranke だから。だから今日、フラフラしながら教会に行ってみたけど、あの西洋チックでデカいお祈りの仕方がなんか納得できなくて、がっかりした。でも、ちょうど説教が旧約聖書の「出エジプト記」で、モーゼが同胞を奴隷から救うためにどれだけ苦労したか、ってとこやってたんだ。それ聞くと、スゲーと思った。エジプトの街の貧しいところで、文句ばっかり言って怠けまくってる同胞たちに、モーゼが、エジプト脱出っていう大きな夢を、めっちゃ口下手なのに一生懸命伝えようとしてるんだけど、みんなに嫌がられたりして。それでも、怒ったり、なだめたり、喚いたりして、やっとみんなでエジプトから脱出したはいいものの、その後40年もの間、荒野を迷い歩いて。モーゼについて脱出した同胞は、モーゼに感謝するどころか、文句ばっかり言って、「モーゼのせいでこんな目に遭ってるんだ。脱出したって全然いいことないじゃん。エジプトにいた頃の方がよかったのに」とか、めっちゃ汚い言葉で文句ばっかり言うんだって。俺、今の日本の民衆を思い浮かべるとしんどくなって、その説教最後まで聞けなくて途中で逃げ出してきたんだけど、なんかめちゃくちゃ寂しくなって、お前のところに駆け込んできたんだ。絶望? いや、絶望って言葉もなんかカッコつけすぎだし。どう言えばいいのかな。民衆ってのは、たいていそんなもんってことだよな。」
「でも、俺聖書のこと全然わかんないけど、そのモーゼだって結局は成功したんでしょ? ピスガの丘の頂上で、ヨルダン川の綺麗な流れを指さして、「故郷が見えてくるぞ、故郷が見えてくるぞ」って叫んでたとかって聞いたことある。」
「ああ、でもそれまでになんと40年もの間、何も食えなくて、しんどい思いを同胞に我慢してもらわなきゃいけなかったんだよ。そんなの出来るわけねーだろ。5年とか10年じゃねーんだよ。40年だよ。俺もうわかんなくなっちゃった。今年の夏を東京で過ごしたけど、結局得られたのは、民衆を救うことへの疑問だった。今日はまた、俺の一人語り聞いてくれ。松島の気炎は大騒ぎで楽しかったけど、今日の告白は暗くてイヤになるよ。」
「今笑っちゃった。なんで笑ったのかわかんねー。エジプトの奴隷たちもきっと、こんなよくわかんねー笑いを時々してたんだろ。奴隷だって笑うんだよ。いや、奴隷だから笑うのかな? 俺、この仙台の街をぶらついてるロシアの捕虜の顔見てるんだけど、あの人たちはあんま笑わないんだ。何か希望を持ってる証拠だと思う。早く国に帰りたいって必死になってるだけでも、まだ奴隷よりはマシだ。俺も時々あの人たちに、パピロスとか渡すけど、あの人はそれが当然だって顔で受け取るんだ。あの人は、まだ奴隷になってねーんだよ。」
原文 (会話文抽出)
「僕はノオトを、いつも藤野先生に直していただいているので、あんな誤解の起るのもむりが無いのですよ、僕はかえって、あの人に気の毒でした。前はあの人をあまり好きじゃなかったけれども、いろいろ話合っているうちに、なかなか正直な人だという事がわかりました。僕はちょっと皮肉のつもりで、あなたはクリスチャンでしょう? と言ってやったら、あの人は、まじめに首肯いて、そうです、クリスチャンだから罪を犯さないという事はありません。かえって僕のようにたくさんの欠点をもっていて、罪を犯してばかりいる悪徳者こそ、クリスチャンの選手になるのです。教会は、僕のような過失を犯し易い者の病院です。Krankenhaus です。そうして福音は僕たち Herz の病人の Krankenbett です、と言うのです。その矢島さんの言葉が、へんに痛く僕の心にしみて、僕もふっと、その Krankenhaus の扉をたたいてみたくなったのです。僕はいまたしかに Kranke なのです。それできょう、ふらふら、教会に行ってみたのですが、でも、どうもあの西洋風の大袈裟な儀礼には納得できないものがあって、失望しました。しかし、説教がちょうど旧約の『出エジプト記』の箇所で、モオゼがその同胞を奴隷の境涯から救うのにどれほどの苦労をしたか、それを聞いて、ぞっとしました。エジプトの都会の貧民窟で喧噪と怠惰の日々を送っている百万の同胞に向って、モオゼが、エジプト脱出の大理想を、『口重く舌重き』ひどい訥弁で懸命に説いて廻ってかえって皆に迷惑がられ、それでも、叱ったり、なだめたり、呶鳴ったりして、やっとの事で皆を引き連れ、どうやらエジプト脱出には成功したものの、それから四十年も永い年月荒野を迷い歩き、脱出してモオゼについて来た百万の同胞は、モオゼに感謝するどころか、一人残らずぶつぶついい出してモオゼを呪い、あいつが要らないおせっかいをするから、こんなみじめなことになったのだ、脱出したって少しもいいことがないじゃないか、ああ、思えばエジプトにいた頃はよかったね、奴隷だって何だって、かまわないじゃないか、パンもたらふく食べられたし、肉鍋には鴨と葱がぐつぐつ煮えているんだ。『我儕エジプトの地において、肉の鍋の側に坐り、飽までにパンを食いし時に、エホバの手によりて、死にたらばよかりしものを。汝はこの曠野に我等を導きいだして、この全会を飢に死なしめんとするなり。』などと思いきり口汚い無智な不平ばかり並べるのですからねえ、僕は自国の現在の民衆と思い合せて、苦しくて、そのお説教をおしまいまで聞いて居られなくなって、途中で逃げて来たのですが、何だかひどく淋しくて、あなたのところに駈け込んで来たのです。絶望、いや、絶望というのもいやらしい、思わせぶりな言葉だ。何といったらいいのでしょう。民衆というものは、たいていあんなものなのですからね。」
「でも、僕は聖書の事はさっぱり知らないのですけれども、そのモオゼだって、ついには成功したのでしょう。ピスガの丘の頂で、ヨルダン河の美しい流域を指差し、故郷が見える、故郷が見える、と絶叫するところがあったじゃありませんか。」
「ええ、しかし、それまで四十年間の歳月、飲まず食わずの辛苦を不平の同胞にこらえてもらわなければならなかったのですよ。出来る事でしょうか。五年や十年ではありません。四十年ですよ。僕は、もう、わからなくなりました。ことしの夏を東京ですごして、僕の得たものは、やはりこんな、民衆を救う事に対する懐疑でした。きょうはひとつまた、僕の長広舌を聞いてもらいます。松島の気焔は楽しかったが、今夜の告白は、暗澹たるものです。」
「僕はいま笑いましたね。なぜ笑ったのでしょう。エジプトの奴隷もきっとこんな工合の、自分にもわからない笑いを時々もらしたに違いない。奴隷だって笑います。いや、奴隷だから笑うのかも知れません。僕はこの仙台のまちを散歩している捕虜の表情に注意していますが、あの人たちは、あまり笑いません。何か希望を持っている証拠です。早く帰国したいと焦慮しているだけでも、まだ奴隷よりはましです。僕も、たまにはあの人たちに、パピロスをやりましたが、あの人たちは当然だというような顔をして受取ります。あの人たちは、まだ奴隷にはなっていません。」
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