太宰治 『新釈諸国噺』 「ふざけた真似をするな!」…

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青空文庫図書カード: 太宰治 『新釈諸国噺』

現代語化

「ふざけるな!」
「人の家に来て、お茶も飲まずに帰り、その上、こんな犬の糞みたいなものを玄関に捨てやがって、人間の付き合いの仕方も知らない生意気な小僧だな。よくもよくも、月夜の利左を舐めたな。もう二度とお前たちの生意気な顔は見たくない。これを持ってさっさと帰れ!」
「馬鹿にするな!」
「いや、ひどい目に遭ったよ。」
「それにしても、吉州も、汚い女になったもんだな。」
「色即是空か。」
「ほんとうに、」
「俺はもう、今日から遊びをやめるよ。落ちぶれた小町を目の当たりにしたよ。」
「出家したいくらいだね。」
「俺はもう殺されそうになったと思った。落ちぶれた昔の友達ほど恐ろしいものはない。道で会っても、こちらから声をかけるのはやめておいた方がいいかもしれないな。誰だよ、一番最初に声をかけたのは。」
「俺じゃないよ。」
「俺は、ただ、吉州に一目会いたくて、それで。」
「お前だよ。」
「お前が一番最初に走っていって、一番最初に声をかけ、おまけに、また、あいつの家へ連れて行ってくれなんて、つまらないことを言い出したのも、全部お前じゃないか。つつしむべきは女好きってことだな。」
「面目ない。」
「これからはばっさり遊びをやめる。」
「改心のついでに、その足元に散らばってるお金を拾い集めたらどうだ。」
「これだって天下の宝だ。昔、青砥左衛門尉藤綱様は、」
「滑川を渡った時、だろ。わかった、わかった。俺は土方人足ってわけか。探しますよ、拾いますよ。」
「こうして一つ一つ拾ってみると、お金のありがたみがわかるよ。お前らも、ちょっと手伝ってごらん。まじめな気持ちになるよ。」

原文 (会話文抽出)

「ふざけた真似をするな!」
「人の家へやって来て、お茶も飲まずに帰り、そのうえ、こんな犬の糞みたいなものを門口に捨てやがって、人間の附き合いの法も知らねえ鼻ったれ小僧め。よくもよくも、月夜の利左をなめやがったな。もう二度とふたたびお前たちの鼻の下の長いつらを見たくねえ。これを持ってとっとと帰れ!」
「馬鹿にするな!」
「いや、ひどいめに遭った。」
「それにしても、吉州も、きたない女になりやがった。」
「色即是空か。」
「ほんとうに、」
「わしはもう、きょうから遊びをやめるよ。卒堵婆小町を眼前にありありと見ました。」
「出家でもしたいところだね。」
「わしはもう殺されるのではないかと思った。おちぶれた昔の友達ほどおそろしいものはない。路で逢っても、こちらから言葉をかけるのは遠慮すべきものかも知れない。誰だい、一ばん先に言葉をかけたのは。」
「わしではないよ。」
「わしは、ただ、吉州にひとめ逢いたくて、それで。」
「お前だよ。」
「お前が一ばんさきに走って行って、一ばんさきに声をかけて、おまけに、また、あいつの家へ連れて行ってくれなんて、つまらぬ事を言い出したのも、みんなお前じゃないか。つつしむべきは好色の念だねえ。」
「面目ない。」
「以後はふっつり道楽をやめる。」
「改心のついでに、その足もとに散らばっているお金を拾い集めたらどうだ。」
「これだって天下の宝だ。むかし青砥左衛門尉藤綱さまが、」
「滑川を渡りし時、だろう。わかった、わかった。わしは土方人足というところか。さがしますよ、拾いますよ。」
「こうして一つ一つにして拾ってみると、お金のありがたさがわかって来るよ。お前たちも、少し手伝ってごらん。まじめな気持ちになりますよ。」

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