太宰治 『新釈諸国噺』 「あたしだって、悋気をいい事だとは思ってい…

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青空文庫図書カード: 太宰治 『新釈諸国噺』

現代語化

「私だって、嫉妬は悪いことだと思ってたんですけど、お父さんやお母さんが喜んでくれるから、ついあんな大声をあげちゃって悪かったわね」
「浮気は男の甲斐性ですよ」
「そうとも、そうとも」
「それについて」
「この頃、養父養母が立て続けに亡くなって、私も何だか心細くて、体調が変になってきた。よく三十代は男の厄年だって言うからね」
「一度、上方へ行って、ゆっくり気晴らしでもしてこようかな」
「それについて」
「はいはい」
「1年でも2年でも、ゆっくりご養生なさってください。まだお若いんですものね。今から分別顔して、ケチくさく暮らしてたら、長生きできませんよ。男の方は、50過ぎてからケチになるのがいいんです。30のケチは、早すぎます。かっこ悪いですよ。そんなの、芝居では悪役ですよ。若いときは思う存分派手に遊んだほうがいいんです。私も遊ぶつもりよ。構いませんよね?」
「もちろん、もちろん。いくら私たちが遊んでも、財産が傾くなんてことはありません。蔵の金銀にも、少し日光を見せてあげないと可哀想だ。では、お言葉に甘えて1年くらい、京大阪で気晴らししてきますからね。留守中は、思いっきり寝て、美味しいものを食べていてください。上方の流行りの着物や帯を、どんどん送ってあげますからね」

原文 (会話文抽出)

「あたしだって、悋気をいい事だとは思っていなかったのですけれど、お父さんやお母さんがお喜びになるので、ついあんな大声を挙げてわるかったわね。」
「浮気は男の働きと言いますものねえ。」
「そうとも、そうとも。」
「それについて、」
「このごろ、どうも、養父養母が続いて死に、わしも、何だか心細くて、からだ工合いが変になった。俗に三十は男の厄年というからね、」
「ひとつ、上方へのぼって、ゆっくり気保養でもして来ようと思うよ。」
「それについて」
「あいあい、」
「一年でも二年でも、ゆっくり御養生しておいでなさい。まだお若いのですものねえ。いまから分別顔して、けちくさく暮していたら、永生き出来ませんよ。男のかたは、五十くらいから、けちになるといいのですよ。三十のけちんぼうは、早すぎます。見っともないわ。そんなのは、芝居では悪役ですよ。若い時には思い切り派手に遊んだほうがいいの。あたしも遊ぶつもりよ。かまわないでしょう?」
「いいとも、いいとも。わしたちが、いくら遊んだって、ぐらつく財産じゃない。蔵の金銀にも、すこし日のめを見せてやらなくちゃ可哀想だ。それでは、お言葉に甘えて一年ばかり、京大阪で気保養をして来ますからね。留守中は、せいぜい朝寝でもして、おいしいものを食べていなさい。上方のはやりの着物や帯を、どんどん送ってよこしますからね。」

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