GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 太宰治 『新釈諸国噺』
現代語化
「なんだ、最初からそう言ってもらえれば、遠慮せずに飲んだのに。あとで会費を取られるんじゃないかって心配しながら飲んだのが損した」
「そう聞くと、このお酒をたくさん飲んで、その幸せにあやかりたいですね。家に帰ると、思わぬところから小遣いが届いてるかもしれない」
「いい親戚がいる人は幸せだ。俺の親戚は、逆に俺のお金を狙ってるから、つまらない」
原文 (会話文抽出)
「きょうは御一同に御披露したい珍物がございます。あなたがたは、御懐中の御都合のわるい時には、いさぎよくお酒を遠ざけ、つつましくお暮しなさるから、大みそかでお困りにはなっても、この原田ほどはお苦しみなさるまいが、わしはどうも、金に困るとなおさら酒を飲みたいたちで、そのために不義理の借金が山積して年の瀬を迎えるたびに、さながら八大地獄を眼前に見るような心地が致す。ついには武士の意地も何も捨て、親戚に泣いて助けを求めるなどという不面目の振舞いに及び、ことしもとうとう、身寄りの者から、このとおり小判十両の合力を受け、どうやら人並の正月を迎える事が出来るようになりましたが、この仕合せをわしひとりで受けると果報負けがして死ぬかも知れませんので、きょうは御一同をお招きして、大いに飲んでいただこうと思い立った次第であります。」
「なあんだ、はじめからそうとわかって居れば、遠慮なんかしなかったのに。あとで会費をとられるんじゃないか、と心配しながら飲んで損をした。」
「そう承れば、このお酒をうんと飲み、その仕合せにあやかりたい。家へ帰ると、思わぬところから書留が来ているかも知れない。」
「よい親戚のある人は仕合せだ。それがしの親戚などは、あべこべにそれがしの懐をねらっているのだから、つまらない。」