GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 横光利一 『旅愁』
現代語化
「どういうことかしら。マサコさんに私からあなたの気持ちお話すればいいの。それなら明日でもお話してみてよ、マサコさん何て言うか分からないけど。あんな人だから、あなたみたいにそんなに、心配なんてしてないんじゃないかしら。」
「そんなこと話してもらっても困るよ。大げさになっちゃうからな。こんな隠微なことはなんとかサラッと暗黙のうちに解決をつけなきゃ、お互いの恥だよ。例えばもしマサコさんと僕が結婚するようなことになって、どっちも幸せになるような日が来たら、君に言われたことがまたどんな不幸な記憶にならないとも限らないさ。だから、今夜のことだって、君一人の胸にしまっておいてくれよ。無闇に言いふらされるのは困るよ。」
「難しいのね、あなたたちのこと。」
「難しいんだよ。でも、まあ、あなたに会ったことで少し落ち着いてきた。これで明日一日くらいは大丈夫だろうな。」
原文 (会話文抽出)
「むかしのよしみですからね。だって、僕はこんなとき、どこへも行けやしないじゃないか。どこへ行くのだ。」
「どういうことかしら。真紀子さんにあたしからあなたの気持ちお話すればいいの。そんなら明日でもお話してみてよ、真紀子さん何んと仰言るか分んないけど。あんな人だから、あなたのようにそんなに、心配なんかしてらっしゃらないんじゃないかしら。」
「そんなことを話して貰っても困るね。事は大げさになるからな。こんな隠微なことは何んとかすらりと暗黙のうちに解決をつけなくちゃ、お互の恥だよ。譬えばもし真紀子さんと僕が結婚するような羽目になって、どっちも倖せになるような日が来たら、君に云われたことがまたどんな不幸な記憶にならんとも限らないさ。だから、今夜のことだって、君ひとりの胸の中に仕舞っといてくれ給え。濫りに口外されちゃわざわざお話した甲斐がないや。」
「難しいのね、あなたたちのこと。」
「難しいんだよ。しかし、まア、あなたに会ってどうやら少し落ちついて来た。これで明日一日ぐらいは保つだろうな。」