横光利一 『旅愁』 「ここは人の休みに来るところね。休もうと思…

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青空文庫図書カード: 横光利一 『旅愁』

現代語化

「この場所は人々がリフレッシュする場所なんだからね。休みたきゃいつでも休めるんだろ。」
「そうだね。人が休む時はどんな顔して過ごすのか、俺たちは見に来たようなもんだ。俺はいろいろ考えてみたけど、結局、人は働かなきゃダメってことだけがハッキリした。心の拠り所って、働くこと以外の何物でもないんだ。」
「でも、それは皮肉よね。あたしなんて何の仕事もできないよ。これ、こんな手。」
「君は目の肥えた批評家になるために来たんだ。パリってのは、今の時代にこれ以上ない文化の都だからさ。見てるだけで一生分の批評ができちゃう。だから、この街にいる間は遊ぶに限るんだ。日本の田舎で売られる娘のことなんか考えてないで。」
「じゃ、またサロンへ行ってもいいってことね。前からそれを聞きたかったの。」
「君は思いっきり遊んで帰ってこい。それが君の役目だ。周りのことなんか気にするな。」
「それであたしも安心したわ。実は明日も夜6時から、あるところに行く約束があるの。プレディリ・オネーの頭取さんのサロンよ。」
「ともあれ、俺は君と楽しい時間を過ごさせてもらったけど、そろそろお別れだな。俺はミュンヘンからウィーン方面に行かなきゃならないんだ。」

原文 (会話文抽出)

「ここは人の休みに来るところね。休もうと思えば幾らでも休める所ですものね。」
「そうそう。人が休むときには、どんな顔をして休むものか、僕らは見に来たようなものですよ。僕はここでいろいろなことを考えたけれども、結局、人は働かねばいられぬということだけが明瞭になりましたね。心の故郷というのは、働くということより何もないのですよ。」
「でも、それは皮肉よ。あたしなんか何も働けないんですもの。これ、こんな手。」
「あなたなんかは物の批評眼を養いに来たんですよ。パリなんてところは、僕らの生きている時代に、これ以上の文化が絶対に二つと出ることのない都会ですからね。見ただけでもう後は一生の間、何んだって安心して批評が出来ましょう。だから、ここにいるからには遊ばなきア損ですよ。日本の農村の売られる娘のことなんか考えていちゃ、ここでは力は養えない。」
「じゃ、あたし、サロンへまた行ってもいいんですのね、それをこの間から伺いたかったの。」
「あなたなんかしっかりと遊べるだけ遊んで帰りなさいよ。それがあなたの務めだ。人に気がねなんか今しちゃ駄目だな。」
「それであたしも安心したわ。実は明日の夜も六時から、一つ出るところがあるの。プレデイリ・オネーの頭取さんのサロンよ。」
「とにかく、僕もあなたと楽しく遊ばせてもらいましたが、もうそろそろお別れしましょう。僕はミュンヘンからウィーンの方へ行かなくちゃならんのですよ。」

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