GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 横光利一 『旅愁』
現代語化
「お金を少しあげて、大金は船にあるから船に来いって言ったら、梯子も登って来たとか言ってたわ。ここじゃ、撃たれればおしまいですからね。」
「でも、ここにいると変なことも起きるけど、確かにちゃんと理解できないことが、いきなり頭に浮かんでくるようになるよね。僕もさっきから、なんだか不思議なことが頭の中でぐるぐるして困ったよ。このままパリに行ったら、自分はどんなことになるのか、想像がつかないや。」
「私もそう。」
「これじゃ僕は、外国の生活や景色を見に来たんじゃなくて、結局のところ、自分を見に来たようなもんだと思いました。もちろん、景色も見るし、博物館も見るけど、何より変わりゆく自分を見るのが面白くて来たようなものですよ。今日1日で僕はずいぶん変わってしまったね。みんな今夜帰って来て、どんな顔をして来るか、楽しみだよ。元気なのはあの老人の沖さんだけだ。僕は足まで動かなくなっちゃったし。ははははは。」
原文 (会話文抽出)
「じゃ、僕があなたにお世話されて来たあのへんですね。どうしましたその人?」
「お金を少しやって、大きな金は船にあるから船へ来いと云ったら、梯子もついて昇って来たとか云ってましたわ。ここじゃ、撃たれればそれまでですものね。」
「しかし、ここにいると奇妙なことも起るでしょうが、たしかにまともに理解出来そうもないことばかり、ふいふいと考えるようになりますね。僕もさっきから、どうも奇怪なことばかり頭に浮んで来て困りましたよ。これでパリへ行ったらどんなに自分がなるのか、想像がつかなくなって来ましたね。」
「あたしもそうなの。」
「これじゃ僕は外国の生活や景色を見に来たのじゃなくって、結局のところ、自分を見に来たのと同じだと思いましたよ。それや、景色も見ようし、博物館も見るでしょうが、何より変っていく自分を見るのが面白くて来たようなものですよ。今日一日で僕はずいぶん変ってしまいましたね。皆今夜帰って来て、どんな顔をして来るか、これや、見ものですよ。元気のいいのはあの老人の沖さんだけだ。僕は足まで動かなくなってしまったし。ははははは。」