岡本綺堂 『中国怪奇小説集』 「答刺罕夫人某氏」…
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青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『中国怪奇小説集』
現代語化
「答刺罕夫人って書いてあるけど」
「答刺罕ってのは朝廷からもらった名前なの?それとも本名なの?」
「夫人の先祖が上からもらったんだ」
「世祖様が江南を手に入れる時、大っきい軍隊連れて黄河まで来たけど、渡る船がなかったんだ。しょうがなくそこで軍隊を止めることになった。そしたらその夜の夢に年寄りが出てきて、『船がなきゃ俺について来い』って言って、世祖様を川岸まで連れてって、『ここから渡れる』って教えてくれたんだ。世祖様はそこの目印をつけて帰ったんだけど、夢から覚めた。それで次の日、夢で見た場所に『ここかここか?』って聞いて回ってたら、男の人が来て、『ここから渡れます』って教えてくれた。それでもまだちょっと不安だったから、世祖様は男の人に『じゃあお前が先に渡ってみろ、俺たちは後から付いて行く』って言ったら、男の人はすぐに先に渡ってった。大軍が後から渡ったら、本当はその道だけ浅くて、無事に渡ることができたんだ。軍隊が渡り終わった後、世祖様は案内人にご褒美あげようとしたんだけど、案内人は『お金とか地位とかは欲しくないです。自分勝手になれるだけで十分です』って言ったんで、世祖様は『答刺罕』って名前をあげたんだって」
原文 (会話文抽出)
「答刺罕夫人某氏」
「答刺罕と書いてあるのは、朝廷から封ぜられたのですか。それとも本人の字ですか」
「夫人の先祖が上から賜わったのです」
「世祖皇帝が江南をお手に入れる時、大軍を率いて黄河までお出でになりましたが、渡るべき舟がありません。よんどころなく其処に軍をとどめる事になりました。その夜の夢に一人の老人があらわれて、渡るべき舟がなければ私に付いて来いと言って、世祖を岸の辺まで案内して、ここから渡ることが出来ると指さして教えました。世祖はそこに何かの目標をつけて帰ったかと思うと夢が醒めました。そこで翌日、ゆうべの夢の場所へ行って、そこか此処かと尋ねていると、一人の男が来て、ここから渡られますという。それでもまだ何だか不安心であるので、世祖はその男にむかって、それではお前がまず渡ってみろ、おれ達はそのあとに付いてゆこうと言いますと、男は直ぐに先に立って行きました。大軍は続いて行きますと、果たしてそのひと筋の水路は特別に浅いので、無事に渡り越すことが出来ました。軍が終った後、世祖はかの案内者に恩賞をあたえようとしますと、その男は答えて、わたくしは富貴を願いません。ただ、わが身の自在を得れば満足でありますと申し立てたので、答刺罕と書いて賜わったのでございます。云々」
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